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新潟運輸、地元製造業とDX共同プロジェクト

2022年11月7日 (月)

▲(左から)Jマテ.カッパープロダクツの山本耕治社長、新潟運輸の坂井操社長(出所:Jマテ.カッパープロダクツ)

国内銅合金連続鋳造品などを製造するJマテ.カッパープロダクツ(新潟県上越市)は7日、同社製品の輸送の中心的な役割を担う新潟運輸(新潟市中央区)と共同で運送送り状発行システムと基幹システムの開発と連携プロジェクトを11月から始めた、と発表した。会社の垣根を越えたDX(デジタルトランスフォーメーション)化を通じて、業務の効率化や労働時間短縮に取り組む。

発表によると、Jマテ.カッパープロダクツの業務標準化の改善活動を新潟運輸につなげ、双方の事務所間でドットプリンターによる送り状を廃止するほか、送り状のファクス送信や電話連絡といった従来の業務を見直して全体最適を図る。新潟運輸が開発、提供しているクラウドシステム「送り状らくらく印刷システム」とJマテ.カッパープロダクツの基幹システムを連携する。さらに、Jマテ.カッパープロダクツが運行時間の見直しを行うことで待機時間の30分から1時間の短縮を目指す。

一連の取り組みにより、新潟運輸側が年間560時間、Jマテ.カッパープロダクツ側が同440時間の改善効果が見込めるとしている。

▲システム連携による業務フロー効率化のイメージ

サプライチェーンの最適化における最適解になるか、輸送サービスの「提供側」と「提供される側」の連携

製造業が顧客に提供する「価値」とは何か。もちろん機能や完成度、独自性の高さなど製品そのものの強みがあるだろう。しかし、いくら製品のスペックが優れたものであっても、それが消費者やユーザーの元に決められた納期で届かなければ、その強みも価値を失ってしまう。配送の過程で製品の機能が損なわれるようなことは、論外であるのは言うまでもない。

つまり、製造業が提供する価値として、サプライチェーンの最適化という概念が無視できないところまで存在感を高めているということなのだ。つまりより消費者の心をつかむ製品を、その機能を維持できる「輸送品質」で届けることが、製造業の役割になっているというわけだ。

こうした動きを象徴する取り組みが、新潟県を舞台に始まろうとしている。Jマテ.カッパープロダクツと新潟運輸による共同プロジェクトは、まさに運送送り状発行システムをフックとした輸送品質のさらなる向上を意識した取り組みだ。

銅合金関連の鋳造品メーカーとして存在感を高めているJマテ.カッパープロダクツは製品物流における輸送品質という概念について、「物流の2024年問題」も視野に輸送業務の持続的な確保という観点も含めて着目。地場の輸送業界で強い影響力を持つ新潟運輸にとっては、こちらも荷物の輸送業務を取引先である製造業における「物流戦略の支援ビジネス」と大きく解釈することにより、二人三脚で強いサプライチェーンの実現に踏み出した。

こうした共同プロジェクトの背景にあるもの。それは物流という業務を経営戦略の一環と位置付ける発想が、製造業をはじめとする産業界に伝播してきたことであろう。サプライチェーンの確保と持続的な成長は企業の永続的な発展に欠かせない経営資源である、との認識が共有されてきたからに他ならない。

東日本大震災など列島を次々と襲う自然災害における復旧・復興への貢献に加えて、EC(電子商取引)に象徴される購買スタイルの多様化も、経営の行方を左右するサプライチェーンの存在を強く印象付けている。

とはいえ、輸送事業者もうかうかとしてはいられない。輸送という仕事に付加価値が求められる状況下で、常に新しいサービスを創出していく必要に迫られるとも言えるからだ。その一つの方策が、輸送サービスの提供側と提供される側の連携なのだろう。製造業の顧客が最大の価値を享受できるシステムと考えれば、それは最適な選択肢なのだろう。(編集部・清水直樹)

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