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通い箱を再生材に刷新しCO2大幅減、パルシステム

2023年2月13日 (月)

フードパルシステム生活協同組合連合会(東京都新宿区)は13日、配達時に使用する通い箱をリニューアルし、プラスチック使用量を2023年度から30年度までに累計763トン削減すると発表した。発泡スチロール製の保冷箱の一部を再生プラスチック原料を100%使用したものに切り替えるほか、折り畳みコンテナには部分的に再生プラスチックを採用する。

発表によると、保冷箱は青果や牛乳などを利用者宅などへ届けるもの。2月17日からパルシステム埼玉の白岡センター(埼玉県白岡市)で5400個を先行導入。耐久性や夏季の保冷効果を検証した上で本格的に導入する。23年度は10トン程度を切り替える予定。

100%再生プラスチック原料は、本体の黄色味が強めに出るため、汚れや劣化に間違われないように側面にはリサイクル素材であることも明記。利用者の理解を促す。

▲現行のもの(右)と比べ、若干黄色味がある100%再生材使用の保冷箱(左、出所:パルシステム連合会)

折り畳みコンテナは、調味料や日用品など常温品を届けるのに使用している。22年度から底面に加えて上部の枠部分にリサイクル素材を取り入れる。再生プラスチック使用率は50%程度まで引き上げられる。すでに22年度は年間16トンのプラスチック使用量を削減しており、今後も補充する際に随時導入する方針だ。

▲黒の底板と上枠材に再生材を使用した折り畳みコンテナ

同連合会は、物流資材のサイズ縮小や軽量化などプラスチック使用量の削減を優先するとともに、再生材への切り替えを積極的に進めており、環境配慮型物流への転換を促進するとしている。

宅配市場で勝ち残るために欠かせない要素、それは付加価値を提供する力だ

新型コロナウイルス禍を契機として急速に普及している、個人宅向け配送サービス。生活協同組合から新興事業者まで幅広く参入する市場だが、そこで繰り広げられるのは、生き残りをかけた激しい競争だ。

参入者が多いゆえに、競争に勝ち抜くために必要なのは、明確な差別化だ。それを消費者に強く印象付けるとともに、事業者が自ら新機軸を打ち立てていくことで、競争環境で優位な地位を獲得できるからだ。とはいえ、その座を継続して維持するには、常に移り変わるマインドを的確に捉えるとともに、新たな仕掛けをいとわない強さも必要だ。

こうした商品宅配市場で差別化を図る取り組みとして、環境配慮型の配送資材の導入を強化しているのが、パルシステム生活協同組合連合会だ。商品の包装材や容器における環境負荷の低減策を積極的に採用するなど、ユニークな取り組みを推進してきた。今回は、商品宅配時に欠かせない「通い箱」や折り畳みコンテナの材質について、より環境性能の高いものに切り替えていく取り組みを推進する。

パルシステムがこうした投資に踏み切る背景には、宅配市場における生き残りを図るとともに、将来にわたって安定した会員層を確保する戦略があると言えるだろう。持続的な社会の実現に対する意識の高い層に対して、環境対応に積極的な姿勢を示すことにより、高品質な商品の安定したサービスとともに付加価値を提供できる。それにより新たな支持の獲得につなげることができる、という考え方だ。

コロナ禍を契機とした「新たな生活様式」を踏まえて、宅配市場は新たな局面を迎えている。プレーヤーは違った次元で競争環境に置かれることを意味するが、そこで存在感を示すための武器となるのが付加価値だ。「プラスアルファ」で市場を先導する。それが宅配ビジネスの新たな競合の基軸になっていくだろう。(編集部・清水直樹)

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