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倉庫間輸送ルート90%をパレット化、コクヨロジ

2023年2月22日 (水)

ロジスティクスコクヨグループのオフィス家具事業を手掛ける、コクヨロジテム(大阪市東成区)は22日、全国の倉庫間輸送の全91ルートのうち90%について、手積みからパレット化に成功したと発表した。作業負荷や待機時間を削減し、荷役作業時間が従来と比べて3分の1に減らすことができたとしている。

発表によると、同社は収納庫類や椅子、デスク、テーブル類に加えてオフィス什器全般を取り扱っている。こうした商材は組み立て式のため、組み立て前の荷物は荷姿やサイズ、重量が豊富で、トラックへの積み込みや荷降ろし作業には負担が大きかった。

パレット化の推進に本格始動したのは、2017年9月に行った「ホワイト物流推進運動」の自主行動提言の提出。パレットに積み付けた後に荷物を安全に固定化するため、自社基準を満たした「パレタイズ認定者」の従業員を定め、そのノウハウやスキルを高めた。パレットに載せられない荷物にも、自社仕様の折り畳み式ボックスパレットを開発して対応した。

一連の取り組みによって、重量物の作業が減ったほか作業者の身体的な負担や事故リスクの低減にも寄与した。今後もパレットの循環率やストレッチフィルム使用による環境負荷といった課題解消にも努める。


▲従来の手積み(ばら積み)による積載(左)をパレット化(右)し、荷役作業時間を大幅に削減(出所:コクヨロジテム)

パレット化しなかった残りのルートは、荷扱いが非常に簡易なため、導入効果が小さいと考えられるとしている。

同社は今回の取り組みについて、運び手の不足や荷物を運べなくなるリスクを「物流業界ではなく、荷主も含めた非常に複雑な課題」と捉えていると表明。パレット化は「あくまで一つの対策」としつつ、他にも全社から各物流センターの従業員単位まで多様な取り組みを推進中とした。

その上で、荷物を運んでもらう協力会社の意見を大切にしながら「選ばれる荷主になるために改善を続ける」と宣言。パレット化の過程で得られたノウハウを含め、物流業界の発展に積極的に貢献していくとしている。

独自仕様で奏功したパレット化、領域と目的を明確化した「最適化」の好例だ

積み降ろしや入出庫などの荷役作業をはじめ、輸送や保管など幅広い物流業務で活用されるパレット。多くの荷物を運ぶ場合に、パレットに載せることで効率よく作業を進めることができる。こうした取り組みは「パレット化」と呼ばれており、物流現場における作業の最適化を推進する観点から導入が進んでいる。

とはいえ、こうしたパレット化が適していない現場も存在する。荷姿が多様で複雑な場合は、パレットへの積載時に崩れることがないよう細心の注意を要する。さらに、従事者のスキルにより安定性や車両への積載効率に差が生じる。荷役や積載の最適化を促す資材であるはずのパレット化が、現場を混乱させる要因になってしまうようでは、まさに本末転倒と言わざるを得ない。

コクヨロジテムが推進するパレット化は、こうした課題にうまく対応することで、業務の効率化と作業負荷の低減につなげた好例だ。パレットの活用領域をただ広げるのではなく、ノウハウや技術の養成と自社の運搬業務の特性に適した仕様の資材の開発を進めることで、倉庫間輸送における最適化に成功した。

ここで特筆すべき点は、全国の倉庫間輸送ルートにおける最適なパレット化にこだわったことだ。コクヨグループのオフィス家具は組み立て式が多いことから、パレットでの輸送は負担が大きい。ここで独自の仕様によるパレット化に踏み切ることにより、輸送業務の効率化を実現することができた。

物流現場における最適化のアプローチをいかに選択するか。「汎用」と「独自」の狭間で判断に迷う場面に遭遇することも少なくないが、コクヨロジテムの事例は効率化すべき領域と目的を明確化することによる、独自のパレット化が奏功した代表例と言えるだろう。(編集部・清水直樹)

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LOGISTICS TODAY編集部
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