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東京港に混雑解消ITシステム投入、ゲート待ち削減

2023年3月29日 (水)

ロジスティクス東京都はこのほど、東京港大井ふ頭のターミナルで2022年8月から23年2月まで3期にわたって行ったコンテナ搬出入予約制事業の結果を発表した。IT技術を活用してゲート前混雑を解消するシステム「CONPAS」(コンテナ・ファスト・パスの略称)を使った事業で、回を重ねるごとに参加運送会社もトレーラー台数も増え、ゲート前待機の平均時間が大きく減少するといった効果を確認できた。

主要貿易港のコンテナターミナルで荷待ちトレーラーによるゲート前混雑が深刻化するなか、CONPASはそれを解消し、トレーラーのターミナル滞在時間も短縮することで、コンテナ物流を効率化することを目的に開発されたシステムだ。情報通信技術と搬出入予約制度の導入により、特定の時間帯に集中して到着するトレーラーを分散させる。ゲートでの搬出入票の提示も省略し、PSカードのタッチだけで入場を受け付ける。トレーラーの接近情報を自動で検知し、事前にコンテナをヤード内の取り出しやすい位置に移動させる。ターミナル側も予約情報や車両の到着状況がリアルタイムに確認でき、効率的な荷役が行える。こうした機能で、港湾のコンテナ搬出入処理能力を引き上げる。

CONPASは横浜港では21年4月から本格運用されているが、東京港では22年度に大井1-4号ターミナルで導入。実施主体は都港湾局と東京港埠頭、東京港運協会で、国土交通省関東地方整備局が協力した。

発表によると、予約制事業に参加した陸運会社とトレーラー台数は、第1期(8、9月の平日10日間)が18社・366台、第2期(11月の平日10日間)が47社・1319台、第3期(2月の平日10日間)が56社(1510台)だった。1時間あたりの予約台数は、大井1・2号ターミナルの場合で、1期が搬出8台、搬入5台、2期が搬出20台、搬入10台、3期が搬出35台、搬入15台。予約されたコンテナの本数は、1-4号ターミナル全部で、1期が493本、2期が1902本、3期が3095本と、回を重ねるごとに増えた。

そして、ゲート前での平均待機時間は、システムを使った予約車と使わなかった非予約車の比較で、大井1・2号ターミナルの場合、搬入では予約車が14.8分となり非予約車(50.7分)より71%(35.9分)短かった。搬出でも予約車は14.1分で非予約車(36.4分)より61%(22.3分)短くて済んだ。トラック運送会社に行ったヒアリングでも、「ゲート前待機時間が削減した」「トレーラーの回転率がアップした」「ドライバーの労働環境が改善した」といった肯定的な声がいずれも10社以上からあった。「予約操作の手間や煩わしさを実感した」という否定的な声は2社と、わずかだった。

導入に際し、都などは運送会社に向けて事前説明会を実施したり、運用手引きを配布したり、間違いやすいポイントを事例集に取りまとめて周知した。ヘルプデスクを配置し、運用ルールや操作方法の個別問い合わせに対応した。それらが奏功し、運送会社側がシステムの操作や運用ルールに習熟できたとみられる。都などは22年度の実施結果を踏まえ、23年度は予約制を他のターミナルにも広げる方針。予約コンテナの本数増加に向けて、ターミナル事業者や陸運事業者と協力し、CONPASの安定運用を進めたい考えだ。

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LOGISTICS TODAY編集部
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