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首都圏マルチ型施設需要は過去最大も「二極化」進む

2023年8月1日 (火)

調査・データ事業用不動産サービス大手のCBRE(東京都千代田区)は7月31日、国内における2023年第2四半期(4-6月)の大型マルチテナント型物流施設の市場動向をまとめた。首都圏での新規需要は過去最大となったが、テナントの選別が進み、国道16号、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)エリアでは空室率のいっそうの高まりが予想されている。

(イメージ)

首都圏の新規供給は24.4万坪と直近2年の四半期平均を上回るペースだったが、新規需要も過去最大となる22.5万坪を記録。今期竣工した11物件のうち4棟が満床となり、神奈川県の既存物件の空室が解消されたことで、新規供給が多いなかでも空室率は高水準で安定した。築1年以上の空室率を示す既存空室率は2.1%と、前期の2.5%から低下した一方で、首都圏全体の空室面積は1年前と比べ2倍以上に増加。空室が多いなかでテナントの選別が進み、物件やエリアの二極化が進行している傾向が浮き彫りとなった。

国道16号エリアでは新規供給11.3万坪に対し、新規需要は今期竣工した5物件のうち4物件が満床竣工だったこともあり過去最大の16.6万坪だった。しかし、神奈川県エリアを中心に同エリア全体の空室率は依然として高く、2024年第2四半期を境に供給量が落ち着くまで、空室率は高止まりすると予想している。特にここ数四半期で複数の大型物件が竣工した湾岸エリアで空室が多くなっており、賃料水準が高めの物件・エリアで誘致が進まない一方、賃料水準が低いエリアでは順調にテナントが決まるなど二極化が鮮明となっている。

圏央道エリアでは、新規需要5.6万坪に対し、新規供給は5物件で11.1万坪と供給過多で、いずれの物件も空室を残して竣工となった。同エリアでは圏央道外側の茨城、埼玉方面の物件でテナントの引き合いが少ない状況が続いており、首都圏全体の需給が緩むなかで今後もテナント誘致に時間がかかると予想した。第3四半期でも新規供給の波が続き、空室率はもう一段引き上がる見込みだ。空室が多いエリアでは賃料を引き下げる事例が続いており、埼玉・茨城方面の物件の賃料には下方圧力がかかっている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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