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24年問題の盲点、荷役現場の混乱回避を

カスケード、無人フォークリフトの高効率化へ邁進

2023年10月19日 (木)

話題フォークリフトオペレーターの不足はすでに顕在化し、荷役現場の停滞につながる「2024年問題」の課題となっている。今後、フォークリフトが稼働できないという事態になれば、現場の混乱は避けられない。

カスケードジャパンの設計課デザインエンジニアである奥井千尋氏は、「日本こそ、人手に頼らない自動フォークリフトの運用を真剣に考えるべきタイミングですが、他国に比べてまだまだこれから、といった印象があります」と語る。今後、日本市場におけるAGV(無人搬送車)やAGF(自動運転フォークリフト)の普及拡大が必要とされる中で、「荷役現場の自動化・無人化に対応する製品をご用意することで、物流改革に貢献していきたいと考えています」(奥井氏)と、AGV・AGFでの使用に最適化したアタッチメントの日本市場への投入を本格化する。

▲カスケードジャパンが提供する各種アタッチメント

顧客目線で加速するカスケードの効率化アタッチメント開発

カスケードは、本国アメリカをはじめ、ヨーロッパや中国など全世界で、フォークリフト用アタッチメントの製造・販売をグローバルに展開している。日本においてもカスケードジャパンが1967年から事業を開始。フォークリフト用アタッチメントにおけるシェアで、世界を牽引している。

▲カスケードジャパン設計課デザインエンジニアの奥井千尋氏

奥井氏は、同社の強みを「ユーザーのニーズを丁寧に製品開発に生かし、それぞれの希望に応じた多様な仕様で提供できること」と言い、それこそが業界をリードする企業たる所以だとする。

▲搬送中の重量計測機能とフォークを開閉・シフトする機能を一体としたアクティブウェイ。ピッキングエラーや過積載防止などへ活用できる。

同社では、さまざまな業種、業態の、あらゆるユーザーの用途に応えるべく、それぞれの仕様ごとにアタッチメントの設計・製造からアフターサービスまで、顧客目線での事業を展開してきた。「フォークポジショナー」「ベールクランプ」「ドラムクランプ」「カートンクランプ」「プッシュプル」「ローテーター」「シングルダブルパレットハンドラー」「インバータプッシュクランプ」など現場用途ごとの製品をラインナップし、多種類の標準仕様はもちろん、個別の特別仕様に至るまで、あらゆる製造・物流現場に適合するツールを提供している。製品包装用の小型ロール紙を損傷なく荷役できる特殊ロールクランプの開発など、これまでも顧客のニーズ対応から新商品を形にしてきたように、ユーザー目線の開発コンセプト自体は、AGV・AGFへの対応でも変わることはない。

ただ、有人フォークリフトではスタンダードとなる車体をベースとした開発が主軸であったが、AGVやAGF市場は、国内外のスタートアップやロボティクス企業が競い合っている領域のため、これまでよりもさらに、それぞれの新しい機体に応じた「個別最適化」が求められる。当然、連携すべき企業の種類も変わり、新規顧客それぞれのニーズを取り込んで対応できる、さらなる開発力の強化も必要となる。

「製品開発においても、世界に設計チームがおり、無人化が先行するエリアでの事例なども参考に、グローバルなノウハウを取り込める体制もあります」(奥井氏)。日本ではまだまだ発展途上のAGV・AGF市場であるが故に、同社にとっては先行する海外の事例を取り込んで、開拓の先陣を切るチャンスも広がる。

フォークリフト用アタッチメントのノウハウをAGV・AGFにも生かす

AGV・AGF開発においては、パレットの位置ずれ解決など日々進化しており、その機能を、さらに最大化させるのが同社の提供するアタッチメントである。「センサーフォーク」「ウェイフォーク」「サイドシフター」「シングルダブルパレットハンドラー」など、すでに有人フォークの各現場で実績を積んだアタッチメントを、自動無人化現場用に最適化して投入する。

▲(左から)電動サイドシフターとウェイフォーク

センサーフォークは、フォーク先端カメラとセンサー技術で、目の届かない高所や暗所での作業、奥行き方向への2パレットのラッキングや、ラベル読み取りにも活用できる。24時間稼働での使用においても有効だ。またウェイフォークは重量計測機能を備え、荷役運搬作業と同時に荷物重量を量ることで荷役作業での工程を大幅に削減する。

▲シングルダブルパレットハンドラーは、1台のフォークリフトで1枚と2枚のパレットが扱える

サイドシフターは、フォークリフトの車体ではなくフォーク部分だけを位置調整することで作業効率化するアタッチメント。AGV・AGFとの連携では「電動」サイドシフターで機能・作業性を高めることが可能だ。シングルダブルパレットハンドラーは、4本のツメを左右に開閉することで、閉じて使えば通常の2本フォークとして、開いて使えば2本フォーク2台分として使用でき、同時に2枚のパレットを運ぶことができる。すでに飲料業界などの有人現場で運用実績を積んでいるが、自動化での使用に対応してカメラ、センサーを装備し、1作業あたりの生産性を大きく改善する。

▲4段マスト

「現場の省人化では、より効率的であることが必要です。有人フォークで培ったこれらのノウハウを、現場ごとに自動化機器とマッチングさせていくことで、生産性を上げることが目標です」(奥井氏)

その他にも、マスト製品を揃えており、庫内の上部空間を有効活用する高積みに対応する4段マスト・5段マストや、油圧式および電動式も開発している。電動式のアタッチメントと組み合わせ、より環境負荷のない全電動式ユニットを実現し、省エネ化・コスト削減の推進、荷役現場全体の最適化も提案する。

それぞれの専門領域を生かした仲間作りで進める荷役改革

「今後、AGV・AGFならではの、今までにない機能が必要になるかも知れません。そのためにも、お客様のこんな機能が欲しいと言う相談こそが、私たちの開発を後押しします」(奥井氏)。多様な「特別仕様」を生み出す柔軟な開発力・コンサルティング力で業界をリードする同社にとって、また新たな領域でのパートナーを作ることこそが、物流改革に邁進する力となる。

稼働時間・稼働空間・処理能力の拡張や、製品損傷による損失の低減など、AGV・AGF導入によって改善できる施策は多く、その機能をさらに拡張し、最大限化するアタッチメントの導入についても検討する意義は大きい。日本の現場にマッチした省人化現場をどう構築するかは、個社対応ではなく各々の領域の専門知識を持つ仲間が必要となる。自動無人化機器を中心とした現場効率化において、パートナーとしてのカスケードジャパンができること、果たすべき役割は大きい。

製品情報
■スマートソリューション
http://www.cascadejapan.com/products/smart_solution.html
■シングルダブルパレットハンドラー
http://www.cascadejapan.com/products/multiloadhandler.html
■フォークスプラス
http://www.cascadejapan.com/products/forksplus.html
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