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物流不動産供給拡大バブル期並み、三菱UFJ信託

2023年10月12日 (木)

調査・データ三菱UFJ信託銀行(東京都千代田区)はこのほど、不動産マーケットリサーチレポート「物流施設ストックの動向から見る物流構造の変化」を発行した。レポートが分析の対象としているのは1990年から2020年。レポートによると、1990年の時点で物流ストック(物流不動産)は1億3000万平方メートルだったが、その後の30年間で1.8倍に増加し、最新データである2023年1月時点では2億2000万平方メートルとしている。

対前年比の物流不動産増加率は1990年代前半と2010年以降の伸びが顕著で、特に20年以降の増加率はバブル期並みとなっている。ただし、1990年代には物流不動産が全国的に増加していたのに対し、2010年代は首都圏を中心とした関東地方でのみ増加している。このことから、レポートでは現在の物流不動産増加は、バブル期とは異なる背景要因の可能性が指摘されている。

物流不動産は90年から1.8倍に増加しているものの、同じ時期に物流量が60億トンから40%減少するという、一見矛盾した現象が起きている。同時期の品目別物流量の変化としては、生産関連の物流量は横ばいであるが、建築関連はバブル期の40%程度の水準。半面、食料工業品や日用品などの消費関連品目は1.5倍程度の伸びを見せている。物流施設を介さず輸送されることが多い建設関連品目を除くと、消費関連品目の増加に連動して、ストック量の増加が起きていることがわかる。消費関連品目は人口動態に大きく影響を受ける可能性があり、レポートでは、近年の都心への人口集中トレンドが、バブル期とは異なり、首都圏で局所的な物流不動産の増加を引き起こしている可能性があると分析している。

建設関連を除く物流量と物流不動産はほぼ連動しながら伸びているが、2014年以降は物流不動産の増加に対して、物流量の伸びが鈍化の傾向がある。レポートではこの原因の解明には至っていないが、「首都圏を中心とした都心部における消費者の価値観・ライフスタイルの変化」、人口動態の変化を背景にした「商圏の小規模化」「EC市場規模の拡大」などの要因により、単純な物流量の増加を超えて物流不動産が増加しているのではないかと推測している。

物流不動産に関する関心は近年高まりを見せているが、その反面、正確なデータが乏しいため需給の見積もりが難しく、変動要因の考察があいまいなことも少なくなかった。三菱UFJ信託銀行では、独自の推計によって国内物流施設ストックデータベースを構築し、物流施設需給の背景要因を分析している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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