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関西で物流の最前線に迫るには?/ドライバー日誌第43回

2023年11月27日 (月)

話題ここまで、新人軽貨物ドライバーとして取り組んでいる業務に関わるエピソードを紹介してきた。わずか数か月で、ここまで多彩な経験を得られるとは全くの予想外であった。ともすれば、毎日同じ業務を黙々と続ける印象のあったドライバーという仕事だが、現場に即した瞬時の対応が常に求められる、まさに臨機応変さの欠かせない職場であると感じている。

ここからは、今回の連載を締めくくるテーマとして、軽貨物ドライバーで独立するまでの「道程」を振り返る。

物流ニュースサイトの編集業務を続けるなかで、ある疑問が浮上していた。物流を取り巻く多様な取材を続ける中で、ふと我に返る瞬間があった。「本当に物流のことを理解しているのだろうか。現場の声を代弁しているつもりが、いつの間にか『真実』を見失ってしまってはいないだろうか」

(イメージ)

2022年末。ある決断に迫られた。大阪府内に自宅がある私は、東京での単身生活を終了する方針を固めていた。問題は、大阪でどんな仕事に取り組むか。ニュースを発信する仕事を続けるか、あるいは別のテーマに挑むか。こうした検討の中で浮上したのが、その疑問だった。

取材活動は、常にジレンマが付きまとう。取材内容は、当然ながら社会で起きている事象の一部でしかない。しかし、それは社会のある方向性を示唆していることは間違いない。「物流業界の応援団」になりたいと考える中で、こうした最新の方向性を抽出する取り組みに、限界を感じ始めているのも事実だった。「現場の息づかいをもっと知る必要がある」

そこで何をすべきか。現場に入り込む迫真レポート企画を新たにスタートするか。しかし、国内で最もダイナミックな物流の動きがあるのは、やはり東京を中心とした首都圏だ。関西圏にも、もちろん物流現場は数多く存在するが、少なくとも国内の物流事情を代弁する現場や最前線で活躍する人物、荷動きを取り巻く最新の情報や話題に迫るには、やはり首都圏が最適なのだ。物流は立地産業であると同時に、社会の最新の動きを反映した全国ネットワークビジネスなのだ。

「関西で物流の最前線に飛び込む方策はないか」。その解を見つけるのは、決して容易な作業ではなかった。(つづく)

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