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突然頭に張り付いた「大胆な着想」/ドライバー日誌第44回

2023年12月5日 (火)

話題関西で物流の最前線に迫るには、何を成すべきか。名案が浮かびそうで浮かばない。そんな日々が続いた。

(イメージ)

そんな年末のある日。取材でお世話になっている、ある物流企業の広報担当者と打ち合わせる機会があった。そこで、物流業の将来に関わる話題になった。いわゆる「物流の2024年問題」に向けた対応が急務となる中で、ドライバー確保には何が必要か。そもそもドライバーを確保しなければ物流は維持できないのか――。

議論が盛り上がる中で、あるキーワードが頭の中を貫いた。「軽貨物」。軽貨物によるラストワンマイル輸送こそが、物流の将来を切り開く上で、強化しなければならない最も重要な領域ではないか。軽貨物は、国内における物流の在り方を考える上で、欠かせないポイントなのは間違いない。新規参入者も確かに増えている。しかし、それは果たして「真実」なのか。

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それを確認するには、どんな方法があるだろうか。軽貨物を扱う事業者の経営トップ、さらに現場の声も聞きたいところだ。しかし、記者という職業に携わってきた経験から、インタビューのやり取りと記者会見での回答、さらに現場でのヒアリングで、それぞれ全く異なる印象を受ける事例が大半であること、さらに言えば事実関係そのものでさえ、差異が生じるケースがしばしば起きることも知っていた。こうした情報の断層を踏まえて、いかに真実の情報を抽出するか。それが取材活動の根幹であると考えている。

しかし、その打ち合わせの席で、こうした思考回路とは全く異なる着想が頭に張り付いてしまったのだ。「自分で軽貨物ドライバーをやるならば、どういうことになるのだろう」

現場に「入り込む」のではない。現場そのものに「なる」のだ――。新たな地平が開いた瞬間だった。そうすると、今までの難題がどれも簡単に解決できることに気付いた。それはあまりにも大胆な、「発想の転換」だった。(つづく)

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