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忘れない「黒ナンバーを手にした瞬間」/ドライバー日誌第45回

2023年12月11日 (月)

話題自分が軽貨物ドライバーになる――。社会人としてはもちろんのこと、生まれて初めて描いた発想だった。

(イメージ)

さっそく、独立開業に関わるウェブサイトを片っ端から閲覧した。同時に、記者仲間や学生時代からの友人、取材で仲良くなった広報担当者などにも相談を繰り返した。もちろん、家族とも話し合いを深めた。まずは情報収集とその判断力の養成が不可欠だったからだ。

こうした中でも、特に力になってくれたのが、ある総合物流企業の独立支援部門の担当者だ。軽貨物という仕事の全体像から開業に必要な作業、さらに具体的な手続きまで、実に丁寧な指導をいただいた。

軽貨物で開業するには、いわゆる「黒ナンバー」を取得する必要がある。黒ナンバーは、黒地に黄色文字を使って作られたナンバープレートであり、軽貨物車に取り付けることで、報酬をもらって荷物を運ぶ配達・運送などの「貨物軽自動車運送業」を行うことが可能になる。軽貨物で黒ナンバーを使用できるのは、車検証の用途欄に「貨物」と記載されている場合である点に、注意が必要だ。

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そもそも軽貨物、つまり軽配送業(貨物軽自動車運送事業)とは、軽自動車を使って運賃を受け取り、荷物を有償で運送する事業だ。黒ナンバーの取得には、車両と保管場所を用意するとともに、貨物軽自動車運送事業経営届出書や運賃料金表、事業用自動車連絡書、車検証のコピーといった所定の書類を、管轄する運輸支局に提出する必要がある。

こうした手続きは、業者に委託することも可能だ。しかし、こうした経験も自営業者として知っておいて全く損はない。何とか自力で黒地のナンバープレートを手にすることができた。

自身のナンバープレートをドライバーで装着した瞬間の、感動と緊張、そして不安の入り混じった心境。生涯忘れることはないだろう。(つづく)

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