話題ソフトウエア開発のプロフェッショナル企業、ブライセン(東京都中央区)は、早くから物流業界の課題に取り組み、同社の展開するWMS(倉庫管理システム)「COOOLa」(クーラ)の導入実績はすでに600社を超え、クラウド型WMSの代表的ブランドの1つとして認知されるまでに至っている。

▲DX・xTECHソリューション事業本部本部長の山川隆一氏
そんなブライセンが新たに手掛けるのが「COOOLa WES」(クーラWES)だ。ロボットや自動化機器、WMS領域でのプレゼンスを確立した同社が今、あえて機器制御システムを含めた倉庫の運用領域、WES(倉庫運用管理システム)に注力する思惑とは何か。DX・xTECHソリューション事業本部本部長の山川隆一氏に話を聞いた。
ミッションクリティカルな課題としてWES開発に取り組む
「私たちが目指したのは、決して止まってはいけないシステム、ミッションクリティカルな領域を、システム開発のプロとしてしっかりと制御することができるソリューション作り。物流のマテハン、ロボットが止まることなく稼動し続ける安心感こそが、これからの自動化・省人化現場には不可欠だ」(山川氏)
WMSとしてのCOOOLaは、拡張性の高さやカスタマイズの対応力に優れているため、COOOLa WESや機器制御システムも、こうしたWMSの機能拡張として派生したものと考えがちだが、「COOOLa WESは、組み込みソフトウエア開発チームが、物流はもちろん物流現場自体を、止めてはいけない社会インフラとして、WMSでは手が及ばない分野を制御するというミッション達成のためにスタートしている。今後ますます重要性が増す庫内自動化やロボット導入を、より進めやすい環境を作り出すための事業展開だ」と山川氏は語る。
COOOLaを基幹として、ワンストップのDX窓口を担う開発姿勢
すでに評価の高い自社WMSでの知見があることは、WES開発では最高の強みである。倉庫全体の管理システムと、その下流で機器制御を統べるWCS(倉庫制御システム)をシームレスにつなぐWESの親和性の高さが、多様な上位システムともスムーズで生産性の高い連携を実現する。

▲倉庫DXの検証の場となっているロボテックラボ
ブライセンでは、WMSを基盤とした倉庫の物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を検証する場としてロボテックラボを開設し、AGV(無人搬送車)を導入してシステム開発の研究を続けている。AGVやAMR(自律走行搬送ロボット)、マテハン機器との連携、WMSとWCSの連携で最適化の領域を拡大する実証を経て、システムの信頼性を高めてきた。「現在は複数のAGVで、複雑化する作業タスクのマネジメントを行う論理シミュレーション環境を整え、より高度な自動化の実現へ向かっている」(山川氏)という。
こうした検証は、ただシステムだけではなくAGVなどのハードウエアへの見識を高めることにも役立っている。中国製品など多様なマテハン機器が供給される物流現場では、導入機器、追加機器ごとにベンダーやシステムインテグレーター(SIer)、さらにWMSとの調整が必要となっていたわけだが、山川氏は「COOOLaを基幹として、私たちに相談してもらえれば、機器連携はもちろん、連携するロボットの保守まで責任を持って窓口になる」という。
上位システムから下位システム、さらに接続機器まで、一気通貫の連携における窓口をブライセンに一本化できる、これこそCOOOLa WESのもう1つの強みなのである。問題点の改善や次の拡張といった柔軟な変更にも迅速に検証・対応することも可能となり、無駄な調整工数の削減と改革のスピードアップにも貢献する。
WMS、WES、WCSと、一気通貫の連携による全体最適への取り組み
「導入したら終わりではなく、そこからがスタート。その最適解としてCOOOLaを中核に据えたワンストップの相談窓口となって伴走できるのがブライセン」(山川氏)。制御のプロとしてのプライドが、止めてはいけない現場を守り、そこから先の改革でも後押しする。
同社が目指すのは一気通貫のシステム作りにより、庫内管理、庫内制御から、さらにスムーズな保守運用やさらなる拡張まで見据えた全体最適化の構築であり、物流のプロによるWMSのCOOOLaと、制御系プロが手掛けるCOOOLa WESとの連携による、物流業界にとって“いいとこどり”のソリューション開発がその解答となる。COOOLa WESでは、さまざまなWCSをプラグインしての活用が可能であり、多様な企業が開発するWCSとのスムーズな連携を実現するなど、その幅広い連携力、制御力は大きな強みとなる。もちろん、ブライセン自身にWCS開発を託して、より明快な管理運用の仕組みも構築可能だ。
ブライセンWESを中心とした一気通貫の管理制御システムの構築に向けて、山川氏の「1年後には、我々が手掛けた多くの全体最適化事例の披露が可能になるのでは」の言葉に期待も高まる。
■問い合わせ先:wcs-sales@brycen.co.jp