ロジスティクス成田空港の今後の在り方を検討している成田国際空港は3日、有識者や自治体などでつくる検討会が取りまとめた「新しい成田空港」構想を国に報告した。「旅客ターミナル」「貨物施設」「空港アクセス」「地域共生・まちづくり」の4テーマで課題や今後の方向性などを整理しており、今後、同社で具体化に向けた検討を進める。
同社では、旅客ターミナルの再構築や航空物流機能の高度化、空港アクセスの改善などの課題を解決し、地域との一体的な発展を目指すため、2022年に、学識経験者や国、県、地元市町らで構成する「新しい成田空港」構想検討会を設置。昨年3月に中間とりまとめを公表するなど議論を重ねてきた。
構想では、旅客ターミナルの集約化や新貨物地区の整備などの案を提示。事業規模については8000億円程度とした。
新貨物地区の候補地は、B滑走路とC滑走路の中間に位置する空港東側エリアで、新規に用地を取得。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)とのアクセスが良く、空港に隣接する地域との一体的運用も見込めるとしている。
新貨物地区では、空港内外に分散している航空物流機能を集約し、貨物上屋とフォワーダー施設の一体的運用でコスト、リードタイムなどの無駄を削減。航空会社とフォワーダーの連携でトランジット需要も取り込み、東アジアの貨物ハブを目指す。
また、徹底した自動化を進め、人手はフォワーダー施設での輸出処理などに集中的に投下して、作業の選択と集中により労働環境の改善を図る。今後、増大が予想されるEC(電子商取引)需要の取り込みに向け、EMSを含む国際郵便の効率的な取り扱い施設の整備やインテグレーターの拠点誘致も検討が必要だと指摘した。
環境面への配慮ではモーダルシフトに対応するため、日本貨物鉄道(JR貨物)のオフレールステーション(ORS)を地区構内に設けるほか、トラックドライバー不足に対応するため共同輸配送拠点を設置。建築物のZEB(ネットゼロ・エネルギー・ビル)化なども進めるとしている。また、空港近くでの圏央道インターチェンジ(IC)新設を千葉県や同社で検討しており、新ICができればアクセス向上も期待できる。
新貨物地区の運用は2030年代初めを目指す。年間の貨物取り扱い能力は、現在の240万トンから350万トンへ増加するとし、サービスレベルの見直しで50万回も対応が可能だとしている。
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