ロジスティクス運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)はこのほど、「荷待ち時間ゼロ」の目標を達成するための提言をまとめ「荷待ち時間ゼロガイドライン」として公表した。物流業界全体の効率化と持続可能な発展を目指し、各企業が参考にすべき具体的な方法と事例を紹介している。
TDBCは、タクシーやトラック、ダンプ、バスなどの運輸事業会社とICT企業などによる連携で、運輸業界の変革を目指して活動している。2022から23年度にかけ、ワーキンググループで荷待ち時間の削減による24年問題の解決策について検討していた。
TDBCが実施した運送事業者17社へのアンケートによると、88.2%の事業者で荷待ちが発生しており、8割以上の業者が荷待ちを大きな課題と感じている。
こうした実情を踏まえて、ガイドラインでは荷待ちの現状や国の対策などについて解説。そのうえで、現状把握の方法や荷待ち時間をゼロにするための対策などを紹介している。特にバース予約システムの運用について分量を割いており、運用上の課題や解決策を詳細に取り上げている。
同システムは、運送事業者の都合に合わせ、バースの利用時間を予約制にすることで、トラックなど車両の到着時間を分散化し、荷待ち時間を削減できるとされている。
しかし、ガイドラインでは「運用に関して考慮されていないバース予約システムの普及は、(運送事業者の効率化や法令順守の)実施を難しくする大きな危険性がある」としたうえで、「アンサーバック方式によるバース予約時間確定は、配車担当者の大切な効率化や法令順守のための準備の時間を奪う結果となっている」「これまでの効率を前提とした配車や経路の決定から、バース予約システムの予約時間を前提とした決定に変わり、効率は二の次となる」と指摘している。
こうした課題を解決し、本来の目的であるドライバーの労働時間の短縮を実現するには、運用の改善が欠かせないとして、3つの対策を提言している。
1つは、各発着荷主でのキャパシティーマネジメントの向上で、荷受け量に対するバースの受入れ能力の改善や特定時間の受入れ能力の強化、受付時間を早めるなどの対策が必要だとしている。
2つ目は、各発着荷主での事業者の効率などの都合を考慮した、時間指定なしでのバース予約受付が可能な体制の構築。
3つ目は、発荷主(第一種荷主)側の「運行当たりの荷待ち、荷役時間の短縮と各着荷主で発生した待機時間料、荷役料(積込料、取卸料)などの料金の適正な収受を実現」を推進する体制と着荷主との連携による実態把握、改善のための仕組みの構築だとしている。
また、さまざまなバース予約システムや、荷主ごとの運用ルールが存在することが予約業務の複雑化につながっているとして、物流情報標準ガイドラインなど業界全体での標準化や運用ルールの統一を求めている。ガイドラインでは最低限の運用ルール案も記載している。
さらに、将来的には電子データ交換(EDI)を活用した物流全体の効率化が必要だとし、実現に向けて協議を進めていくとした。
TDBC「荷待ち時間ゼロガイドライン」(2024年7月10日版)
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