環境・CSR国土交通省は8月27日に公表した来年度予算概算要求のなかで、南海トラフ地震などの大規模地震の発生に備え、海上からの人命救助や緊急物資輸送を支えるための環境整備として、港湾施設の耐震機能を確保するなど港湾での防災対策に取り組む方針を示した。
同省港湾局は、災害時に迅速な人命救助を進め、救援物資の輸送態勢を確保するとともに、海上物流を活用した経済活動を維持するには、既存ストックを活用して港湾施設の耐震機能を確保し、防災訓練の実施や港湾DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ハード・ソフト両面のあらゆるツールを動員して効果的な防災対策に取り組むことが必要だとしている。
このため、ソフト面では、行政が応急復旧の効率化のための港湾DXに取り組むほか、行政と民間で、応急復旧に向けた資機材の確保や災害時の災害協力団体との連携強化、官民共同の防災訓練の実施、「命のみなとネットワーク」の形成などを進めていくとしている。
このうち、命のみなとネットワークは、港湾の機能を最大限活用した災害対応のための物流・人流ネットワークで、2022年から国交省と各市町村が組織化を進めている。陸路が寸断し孤立した被災地に、緊急物資や救援部隊を海上輸送するほか、被災者を海上から避難させるなどして救援や復旧支援に当たるのが主な目的で、定期的に輸送訓練を行っている。
ハード面の対策では、災害時に、緊急物資の輸送などが機動的に行えるよう係留施設の耐震化を進める。岸壁では、地盤改良で土圧を軽減し、海面下の地盤の液状化対策を行う。能登半島地震でも、岸壁の耐震化を行っていなかった金沢港や穴水港、飯田港などでは岸壁が陥没するなど大きな被害が出たが、耐震強化をしていた七尾港の矢田新桟橋では、軽微な損傷のみで済んだ。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com