調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は30日、物流業界での設備投資を促進するため、各業界の実情や設備投資の阻害要因、対策などをまとめた「物流・ロジスティクスにおける設備投資のための調査報告書」を公表した。設備投資に積極的な企業は将来的なリスクを認識していると指摘し、社内での意思統一や他社との連携の重要性を訴えている。
調査は、労働力不足によって、物資が運べなくなるという事態を防ぐため、省人化や省力化のための設備投資を促進するには、どのような対策や態勢作りが必要なのかを探る目的で実施した。
調査にあたっては、まず各種調査レポートや業界団体の資料をもとに情報を整理。その結果、物流に関する設備投資が一定程度進んでいる業界は食料品製造業や化学工業、各種商品小売業などだと分かり、さらにこれらの業界の中で特に設備投資に積極的な企業に対して個別のヒアリングを実施した。
報告書によると、設備投資に積極的な企業は、物流コスト増大や確実な輸送ができなくなるリスク、今後強化が予想される規制・コンプライアンスへの対応を課題として認識。そのうえで、労働力不足のほか、社会的要請や外部環境の変化に対応するため、自動化システムなどの導入や、業務プロセスの削減、拠点配置・流通網の見直しなどに取り組んでいる。
一方で、こうした取り組みを阻害する要因も存在し、主に「社内の意思統一」「人材やノウハウの不足」「投資予算の限界」「投資対効果の不確実性」「既存設備・システム・標準の不統一」「他社の説得及び役割・負担分担の合意形成」などの10の阻害要因を挙げた。
これらの阻害要因に対し、設備投資に積極的な企業や物流部門は、経営陣によるコミットなど社内の態勢を整えたうえで、「社内他部門との連携・コミュニケーション」と「他社との連携・コミュニケーション」の両面に取り組んでいる。
こうした分析を踏まえ、JILSは設備投資で物流の効率化を図るには、経営陣によるコミットの下、社内全体での危機感の共有や物流部門と他部門との交流、他部門の投資との連動、数字・試算による説明などの社内向けの施策を展開するとともに、他事業者と物流効率化の目的や現状の課題を共有するなど社外との連携が欠かせないとしている。
また、荷主の企業や物流部門が単独では進めにくい取り組みもあることから、業界団体や国や地方自治体に対し、サプライチェーンの川上・川下との連携を促進する枠組みの整備や先進事例を紹介する勉強会などの支援の実施を求めた。
物流・ロジスティクスにおける 設備投資のための調査 報告書(ページ下段にリンク)
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com