調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は10日、今年1月以降の全国の新聞販売店の倒産が10月末までに40件(前年同期22件)に達したと発表した。6月には30件に達し、早くも年間最多だった14年と19年の29件を抜いたが、8月以降も増え続け最多件数を更新している。
地区別では、人口が多い関東が22件、近畿が8件、中国が4件と、3地区で全体の85%を占める。一方、北陸、四国、九州はゼロだった。都道府県別では、東京都7件が最も多く、神奈川県が6件、埼玉県が5件、大阪府が4件だった。
倒産原因で最も多いのは、「販売不振」で29件だった。負債額別は、「1000万円以上5000万円未満」の28件が最も多く、次いで「5000万円以上1億円未満」が9件、「1億円以上5億円未満」が3件だった。
新聞の発行部数は、日本新聞協会の資料によると2023年10月時点で約2859万部となり、2000年の約5370万部に比べてほぼ半減している。また、日本ABC協会が公表した今年6月度の集計では、毎日新聞が150万部を下回ったことも明らかになった。
各新聞社を見ても、今年10月から毎日新聞と産経新聞が富山県での配送を休止するなど縮小傾向が続いている。北海道新聞スポーツが22年11月末、西日本新聞スポーツが23年3月末で、紙媒体の発行を休止しウェブ媒体のみに移行。東京中日スポーツも来年1月末で電子版のみに移行すると発表した。
こうした新聞の購読部数減は新聞販売店の経営に直結しており、部数が落ち込んだ地域では特定新聞を宅配する「専売店」から、特定新聞と他紙を扱う「複合店」、すべての新聞を扱う「合売店」に移行するなど、効率化を模索しているが、経営の改善は容易ではない。
部数減は、販売店にとって重要な収入源である折込み広告収入の落ち込みにもつながる。販売から配達まで人手に頼る労働集約型の経営のため、人手不足や人件費、配達コストの高騰が経営を直撃している。
このため地域密着の強みを生かし、商品販売や高齢者住宅の見回り、配送サービスなど事業転換を図る動きもみられる。
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