行政・団体国土交通省は内航海運の取引環境の改善に向けて、内航海運業者と荷主が順守すべき事や望ましい協力のあり方を示した「内航海運業者と荷主との連携強化のためのガイドライン」を改訂することになり、15日に改訂内容を公表して、パブリックコメントの募集を開始した。中小事業者の多い内航海運業者の立場を守るため、荷主らに対し独占禁止法や下請法の順守を求める内容となっている。
同省によると、内航海運は、モーダルシフトの受け皿や、災害発生時の陸上の代替輸送、緊急物資輸送の物流の代替性の確保に重要な役割を果たしているものの、内航海運業者の99.7%が中小事業者で、荷主よりも立場が弱く、対等な交渉に基く十分な運賃を受け取れないケースも多い。
このため、同省は内航海運の取引環境改善や船員の働き方改革、生産性向上を進める事を目的に同ガイドラインを2022年に公表。企業にコンプライアンスの重視や、内航海運業者と荷主との連携強化を求めた。
しかし、政府が各業界に賃上げや労働環境の改善を求める中、内航海運業界では取引の際の商慣習の改善が進んでいないとの指摘があり、同省や荷主企業、内航海運業者で組織する「安定・効率輸送協議会」で対策などを議論してきた。今回のガイドブック改訂では、同協議会での議論を反映している。
主な改訂内容としては、価格協議を行う際、コスト変動による運賃や用船料の交渉を円滑に進めるために、内訳となる費用項目などを明示することを求め、役務の範囲(役割分担)や費用負担、支払条件などを明確化するとした。
また、物流特殊指定を含む独占禁止法や下請法で規制している内容を記載し、法令順守を荷主らに強く求めた。このほか、取引内容や労働環境、運航管理、空荷運航などの改善事例を増やし、これらの事例を参考に望ましい取引関係を構築するよう求めている。
パブリックコメントの締め切りは2月14日となっている。
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