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アパレル物流隆盛の常磐道沿線を深堀り

2025年1月24日 (金)

イベント

LOGISTICS TODAYが1月24日に開催したオンラインイベント「CLOが主導する次世代アパレル物流戦略 – 常磐道沿線にみる最新物流拠点と循環型ビジネスの可能性 -」のアーカイブ配信が決定!申込者全員に特典としてオリジナルレポートのプレゼントもありますので、ぜひお申し込みください。

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※以下、イベント当日のレポートです。

LOGISTICS TODAYは24日、オンラインイベント「CLOが主導する次世代アパレル物流戦略 – 常磐道沿線にみる最新物流拠点と循環型ビジネスの可能性 -」を開催した。ファッションレンタル事業を手がけ、「アパレル荷主」でもあるエアークローゼット(東京都港区)が確立した循環型物流モデルにみるCLO(物流統括管理者)の役割の検証や、イデアロジー(新宿区)によるつくばみらい市周辺の物流ポテンシャル分析、野村不動産によるアパレル物流に対応した常磐道沿線の物件紹介など、多岐にわたる内容で注目のテーマを深堀りした。

最初のセッションテーマは、「ビジネスモデル実例が語る、先進的アパレルロジスティクス実現の説得力〜アパレル業界のCLOが変える物流改革の最前線〜」。洋服を貸し出し、返却された洋服をメンテナンスしてまた貸し出すというファッションレンタル事業を手がけるエアークロゼットから、副社長でロジスティクスディビジョンディレクターでもある前川祐介氏が登壇し、同社が独自のビジネスモデルから構築した循環型物流の仕組みや、今後の物流に関連する事業ビジョンについて解説された。

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▲エアークローゼットの前川祐介氏

同社のビジネスモデルは物流面で複雑を極める。レンタルされた洋服は顧客が買い取ることもあるが、基本的には返却され、検品、修繕、クリーニングなどを経てまた出荷される(貸し出す)というプロセスをたどるため、物流業務以外にも多くの工程が発生し、業務委託が難しい。CLOという役職ではないものの、同社の物流を統括する立場の前川氏は、物流の企画・構築は自前で手がけながらも、実際に倉庫業務を担う3PLなど、業務を委託する事業者に複雑な事業の流れを詳細に伝えることが重要と説いた。現在はさまざまな機能を分散した拠点で横持ちをかけながら行っているが、今後は拠点の統合、ロボティクスを活用した効率化を進めていくことも検討していくという。

また、これらのレンタル事業を展開するうえで作り上げた物流プラットフォームを、レンタルサービス事業者に提供することで、主要ビジネスの推進を支援するサービス「AC-PORT」を昨年から展開。循環型物流の難しさを肌で感じる同社だからこそ、そのノウハウを共有することで、シェアリングサービス進出への一歩目のハードルを下げる考えだ。前川氏は「循環型物流プラットフォームの提供により、アパレル分野のみならずシェアリングサービスが浸透することになれば、我々の循環型物流の取り組みの価値が最大化されることにつながる」と意気込みをみせた。

続いてのセッションでは、「つくばみらい市の物流ポテンシャル〜多様なデータから判断する、事業リスク回避〜」として、物流倉庫のマッチングデータベース「ア・ソコ」を提供するイデアロジーの社長兼CEO(最高経営責任者)坂本哲朗氏が登壇。2017年に賃貸型物流倉庫の供給が本格化し、ことしには三井不動産の「MFLPつくばみらい」、野村不動産の「Lanportつくばみらい」が完成することで、過去最大の供給量となるつくばみらい市を中心としたエリアの地理的特徴や物流不動産マーケット、同市の物流ポテンシャルが示された。

▲イデアロジーの坂本哲朗氏

つくばみらい市のある茨城県は企業誘致を推進しており、製造品出荷額は全国7位を誇るほか、23年の工場立地件数は全国1位、工業団地内敷地面積は9年連続で1位となっている一方、平均地価は全国11位(1平方メートルあたり3万8800円)と、工場の進出がしやすい土地となっている。こうした特徴から、27-28年には日清食品やクボタ、ダイキン工業をはじめとした大手メーカーの進出も予定されるなど、首都圏への玄関口となるつくばみらい周辺の物流施設ニーズも飛躍的に高まることが予想されるとした。

人口動態の面でも特徴的な動向がみられており、つくばみらいとつくば、守谷の3市は、2005年8月のつくばエクスプレス(TX)開通により、06年から24年までで計8万人弱も人口が増加するなど、労働力の確保には一定の強みを持つ。そのなかで、アパレルEC(電子商取引)のZOZOが大規模倉庫を構えるつくば市では時給相場も高まり、つくばみらい市より30円高くなっているという。坂本氏は「30円の差は年単位など、長いスパンで考えればかなりの差になる。労働コストの面で、つくばみらい市はつくば市より優位性があるといえる」と説明した。

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▲野村不動産の和田吉朗氏

続いて、野村不動産都市開発第二事業本部物流事業部副部長兼事業二課長の和田吉朗氏が登壇し、ことし6月末に完成予定のLandportつくばみらいの概要を紹介した。同施設は常磐道・谷和原インターチェンジ(IC)から9.1キロ、26年開通予定のつくばみらいスマートICからは3.8キロと、首都圏配送や東北への輸送拠点として機能するほか、TX・みらい平駅から徒歩圏内の通勤利便性の良さ、雨天荷役が可能な設計となっていることをアピールした。

また、常磐道沿線で隆盛するアパレル物流への対応については、同社の企業間共創プログラム「Techrum」(テクラム)を提示。同プログラムには100社の物流関連会社が参画しており、「倉庫のほぼすべての工程に関して最適化の支援ができる」(和田氏)体制が整備されている。アパレル業界向けの完全自動化を想定したソリューション群から、大規模な工事やシステム連携を必要としない導入のハードルが低い省人化ソリューションも提案可能だとし、パレットやケース、ハンガーといったいずれの荷姿でも対応可能であることを訴えた。

最後に、エアークローゼット・前川氏、野村不動産・和田氏を交えたパネルディスカッション「CLOが変革するアパレルEC物流戦略〜先進荷主の“次世代施設”活用術〜」を展開。

アパレルECに起こり得る動脈物流(出荷)と静脈物流(返却)が生じるビジネスモデルの運用の難しさについて、前川氏は「日本では通常、ECでの返品がイレギュラーな工程となっている」とし、エアークローゼットのような返却ありきのレンタルビジネスとは一線を画すとはしながらも、同社が返却から出荷までの一連の工程を工夫して構築したように、返品後のフロー構築が重要であるとの視点を示した。

また、アパレルEC事業者など、CLOが物流統括の役割だけでなく、経営を担っていることにも前川氏は意味を見出している。「目の前の売上や操業だけでなく、経営者目線での良いも悪いも共有できることは強みとなっている」。CLOに求められる資質としては「会社として何を目指しているか、言語化できることが重要」としたうえで、CLOを含めた物流チームとしての動きも重要であることを強調した。

さらに複雑化していく荷主のさまざまな要望に対応する物流施設デベロッパーに、今後求められてくる役割とは何なのか。「テクラムへも荷主からの関心が高まっている」という和田氏は「荷主同士の共同配送の話はよく聞くものの、実現できていないケースが多い。マッチング機会の創出など、物流施設の提供以外にも支援できる体制を整えたい」と話した。

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LOGISTICS TODAY編集部
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