ロジスティクス地域企業と地域課題解決型スタートアップの橋渡しの役目を担う「地域課題解決DXコンソーシアム」の第3回全体会が30日、都内で開かれた。同コンソーシアムは、スタートアップ向けベンチャー・キャピタル(VC)のファーストライト・キャピタル(旧UB Ventures、東京都港区)と地域金融機関9行(鹿児島銀行、佐賀銀行、山陰合同銀行、四国銀行、静岡銀行、常陽銀行、中国銀行、福岡銀行、山口銀行)が2024年7月に設立。以来、3か月おきに全体会を開催しており、今回は初めて「物流」をテーマとして開催された。

▲soucoの中原久根人社長
全体会のセッションでは、倉庫シェアリングサービスを展開するsouco(ソウコ、千代田区)の中原久根人社長、トラック運送業に特化したソリューション「トラッカーズ」シリーズを運営するAzoop(アズープ、港区)の朴貴頌社長が登壇し、それぞれの物流課題解決に向けたソリューションの紹介とともに、地域での課題への対応にも言及。参加したコンソーシアム組合員の関係者は熱心に耳を傾けた。
パネルディスカッションでは、アズープ朴社長と、同社の運送業務管理システム「トラッカーズマネージャー」のユーザー企業である松下運輸(港区)営業統括本部課長の松下龍平氏が登壇。松下運輸がシステムを導入したことで実現した効率化の実例や、導入の際の苦労話を展開し、中小運送会社のデジタル化に関する実態を共有した。
松下運輸は創業80年の老舗企業で、システム導入の際にはそれまでの慣れ親しんだフローを変えることに対し、現場から抵抗の声も多かった。松下氏はアズープ担当者の導入支援の下で徐々にシステムを浸透させたほか、「でかい旗を振って、熱量を伝える」ことで現場の理解を求め続け、車両修繕コストの改善、帳票類やデータ管理のデジタル化を推進したという。「紙の情報をデジタル化したことで、監査などへの対応も円滑になり、今は現場からも好評を得ている」と手応えを口にした。

▲パネルディスカッションに登壇した(左から)松下運輸営業統括本部課長の松下龍平氏、Azoopの朴貴頌社長
数多ある業務DX(デジタルトランスフォーメーション)ツールの中からトラッカーズマネージャーを選んだ理由については、「目先の課題解決だけでなく、ソリューション全体としてどのように発展していくというロードマップを描けているか」(松下氏)が基準となったと話す。「蓄積されたデータを活用するフェーズに至るまで時間がかかる。足下だけではなくていかに先を見据えるかが重要」(松下氏)
それでも、運送会社、特に中小規模の運送会社は目先の課題解決に取り組まなくてはならない。松下氏はまず取り組むべきDXの第一歩として「とにかくヒトとクルマをデータ化すること」が、すべての業務改善につながるとした。朴社長は「システム導入だけしても、現場に任せてだけでは改善には至らない。経営者が1年、2年と時間をかけてコミットすることが重要」と、社を上げての改善努力の必要性を説いた。
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