
(出所:ソラコム)
調査・データIoT活用支援サービスを手掛けるソラコムは19日、化学メーカーのAGCが、同社のIoTプラットフォームSORACOMを活用して、工場から納品先への運送のオペレーションを効率化したとして、導入事例をホームページで公開した。
AGCでは物流の効率化に取り組んでいるが、納品先での受け渡しをスムーズに行うのが難しかった。このため、SORACOMを使ってGPS位置情報と連携した通知システムを開発して、納品先に事前に到着時間を通知できるようにしようと考えた。
通知システムのデバイスには、SORACOM IoT SIMを内蔵し、簡単に取り扱える「GPSマルチユニット SORACOM Edition」を採用。ソラコム認定パートナーのシステム開発会社、ナビッピドットコム(東京都中央区)が、同社の位置情報サービス「DP2」をベースに開発した。
システムは、リアルタイムで車両の現在地や移動状況を把握し、納品先への到着時間を事前に自動で通知。納品先の作業員が必要なタイミングで立ち会えるよう、地図上でエリアを設定し、そのエリアに車両が出入りする際に通知を送る「ジオフェンス機能」もある。納品先によって、通知のタイミングや頻度、内容のカスタマイズもできる。
また、車両の位置情報から、各業務にかかった時間を分析する「車両稼働管理システム」の構築にも取り組んだ。これによって、工場内での荷物の積み込みや、納品先での荷物の受け渡しなどに、どのくらいの時間かかっているのかを解析できる。さらに、位置情報を基幹システムのオーダー情報と組み合わせて、各車両の稼働状況を可視化。滞留時間が平均値より長い場合は、改善すべき課題があると判断し、具体的なオペレーションの改善や、車両の運用効率の見直しなどを行っている。
こうした活動で、ドライバーの時間外労働時間を1人当たり平均月15時間削減したという。
さらに既存のシステムへの位置情報活用も進めている。液体化学品の誤納入の発生を防ぐため、納入先のタンクにQRコードを貼り付け、顧客情報や品名を照合していたが、位置情報を使って車両が正しい納入先にいるかどうか、自動的にチェックする機能を追加した。
AGCでは「車両の位置情報を収集していくうちに、新たな課題解決のアイデアが次々と生まれ、幅広い改善策へと発展した。今後も現場に即したシステムを作り続け、さらに物流を進化させていきたい」としている。