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AI-OCRでデータ化、4つの基本機能が全てクラウドで完結へ

Trade Hubが貿易業務の効率化革命、今夏刷新

2025年4月1日 (火)

話題国際貿易の最前線である貿易業務の現場は、今なお多くの課題を抱えている。船荷証券、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書…。日々、大量に発生する紙の書類、そしてExcel(エクセル)による手作業でのデータ入力。これらの煩雑な業務は、担当者の大きな負担となり、時間とコストの増大、さらにはヒューマンエラーのリスクを高める要因となっている。

「書類の照合に時間がかかりすぎる」「手入力によるミスが後を絶たない」「外部はおろか、社内の連携すらスムーズにいかない」…。LOGISTICS TODAY編集部が貿易業務担当者にヒアリングを行ったところ、このような現場の悲鳴とも言える声が多数寄せられた。多くの企業が、貿易業務の効率化の必要性を痛感しながらも、長年の慣習やシステム導入のハードルの高さから、抜本的な改革に踏み出せないでいるのが現状だ。

貿易DXの旗手「Trade Hub」が今夏リニューアル

こうした課題を前に、現場の実情に寄り添った業務効率化ツールとして注目されているのが、双日テックイノベーションのクラウドサービス「Trade Hub」(トレードハブ)だ。Trade Hubは、OCR(光学文字認識)にAI(人工知能)技術を融合させたAI-OCRと呼ばれる最新の文字認識技術を活用し、紙の書類や画像に書かれた文字を自動で読み取り、コンピュータ―で扱えるデータへと自動で変換。貿易業務向けに特化した機能を備えており、これまで手作業に依存していた書類の照合やデータ入力を自動化することで、業務の大幅な効率化を実現する。

「Trade Hub」サービス概要(クリックで拡大)

Trade Hubの最大の特徴は、貿易業務に不可欠な4つの基本機能、すなわち「照合」「書類作成」「データ連携」「コラボレーション」を、モジュール形式で提供する点だ。自社の業務プロセスや課題に合わせて、必要な機能だけを選択し、自由に組み合わせることができるというわけだ。

昨年4月のサービスリリース以降、照合や書類作成の機能が高く評価されている一方で、社内外のシステム連携やステークホルダーとの連携、クラウド上でのデータ加工などを求める声が多く聞かれたことから、同社は大規模な機能拡張とUI(ユーザーインターフェース)の刷新を決断。今夏に新たな料金体系とともに正式にリリースするという。

▲アプリケーション事業本部 事業開発部 副部長の木村悦治氏

アプリケーション事業本部事業開発部副部長の木村悦治氏は、「開発にあたり、先行導入企業の現場が抱える課題やニーズを徹底的にヒアリングしました。その結果、画一的なシステムではなく、各社が自社の業務に合わせて自由にカスタマイズできる、モジュール型のシステム構成が最適だと判断しました」 と語る。

今夏の機能拡張とUI刷新で、Trade Hubはどのように進化し、貿易業務の現場課題を解決するのか。基本となる4つの機能を見ていく。

AIが実現する、高精度かつ柔軟な「照合」機能

貿易書類の照合は、正確性が求められる重要な業務だが、その多くは未だに目視と手作業で行われている。Trade Hubの「照合」機能は、AI-OCRが各種貿易書類(契約書、インボイス、注文書など)を高精度に読み取り、内容の整合性を自動的にチェック。これまで人手に頼っていた照合業務を大幅に効率化し、人的ミスを防止する。

取引に関わる全ての情報を構造化データとして生成する(クリックで拡大)

特筆すべきは、その照合の柔軟性だ。Trade Hubは、書類と書類の照合はもちろん、書類とデータの照合、さらにはデータとデータの照合も可能。例えば、インボイスと注文書の内容を突き合わせたり、船荷証券の記載内容とシステム上のデータを比較したり、といった多様な照合ニーズに対応できる。


▲照合元と照合先の書類をAI-OCRでデータ化(上図)し、照合結果を◯✕で判定する。完全一致以外でも照合できる(クリックで拡大)

さらに、Trade Hubは、3つ以上の書類やデータを同時に照合し、その結果を○×で判定する機能を備えている。例えば、インボイス、注文書、パッキングリストの3点を照合し、数量や金額に不一致がないかを自動で確認。もし不一致があれば「×」と判定されるため、担当者は問題箇所だけを重点的に確認すればよく、確認作業の大幅な効率化が実現する。

▲アプリケーション事業本部 事業開発部Trade Hub PdMの千葉矢貫氏

システム開発を主導するアプリケーション事業本部 事業開発部Trade Hub PdM(プロダクトマネージャー)の千葉矢貫氏は、この機能について、「AI-OCRの読み取り精度は95%以上。さらに、複数書類の照合機能を組み合わせることで、従来の目視チェックと比較して、9割以上の時間短縮を実現できるケースもあります」 と、具体的な効果を説明する。

手入力作業を大幅削減する「書類作成」機能

貿易業務では、さまざまな書類の作成が必要となる。Trade Hubの「書類作成」機能は、AI-OCRで解析・取得したデータや、ERP(基幹システム)に格納されている取引データなどを呼び出し、必要な書類を自動生成。担当者は、生成された書類の内容を確認し、必要に応じてわずかな修正を加えるだけで済む。これにより、手入力作業を大幅に削減し、ミスを防止するとともに、書類作成にかかる時間を大幅に短縮できる。千葉氏は、「書類作成機能は、特に輸出業務で効果を発揮します。例えば、インボイスやパッキングリストの作成を自動化することで、担当者の負担を大幅に軽減できます」と、具体的な活用シーンを挙げる。

登録データを適切に反映、スムーズな入力を支援する「データ連携」機能

貿易業務では、さまざまなシステムへの入力作業が発生し、業務負担が大きくなりがちだがTrade Hubは、こうした入力作業の効率化を支援する。データの二重入力や転記ミスといった問題を解消し、業務全体の効率を飛躍的に向上させる。データの整合性が保たれるため、信頼性の高い情報管理が可能となる。木村氏は、「Trade Hubは、紙やPDFの書類をデータ化し、さらにシステム間のデータ連携をスムーズにすることで、業務全体の効率化に貢献します」と、データ連携の重要性を強調する。

▲アップロードされた書類からシステムへ自動登録する事例イメージ(クリックで拡大)

取引先とのコミュニケーションを円滑にする「コラボレーション」機能

貿易業務では、社内だけでなく、外部のステークホルダーとの情報共有も重要となる。Trade Hubの「コラボレーション」機能は、ステークホルダーとの連絡をシステム上で一元管理。メールやファクスでの書類データのやり取りをなくすため、ステークホルダーに対して書類データのアップロードを依頼できる機能を備えた。これにより、担当者がメールやファクスで書類を受け取り、Trade Hubのシステムにアップロードする手間を削減。案件に紐づくチャット会話機能で、補足情報のやりとりも可能となった。

「取引先とのコミュニケーションを効率化することで、リードタイムの短縮や、トラブルの未然防止にもつながります」と、千葉氏はコラボレーション機能のメリットを語る。

新UIでさらに使いやすく、直感的な操作が可能に

今回の機能拡張とUI刷新により、Trade Hubはさらに進化を遂げた。システムとPCの間で発生していたデータのダウンロード・アップロード作業が軽減され、データの加工もクラウド上で完結する体制が整った。「PCのローカル作業とクラウド上の作業との行き来がなくなり、さらにスムーズに業務を遂行できるようになった」と、先行ユーザーからは好評だ。

さらに、各案件の進ちょく状況は、プロセスごとにバーで視覚的に表示されるため、担当者ごとの作業状況が一目で把握できる。これにより、管理者は問題の早期発見、ボトルネックの解消、迅速な意思決定が可能になる。木村氏は、「今回のUI刷新では、現場担当者の使いやすさを第一に考えました。直感的な操作で、誰でも簡単に使えるシステムを目指しました。今後は管理者向けダッシュボード機能をさらに強化し、個々の担当者の生産性まで『見える化』していく予定です」と、今後の展望を語る。

新UIによって、さらに使いやすくなったTrade Hub。その導入効果は、実際の現場でどのように現れているのだろうか。具体的な導入事例を紹介する。

Trade Hubが現場を変える

例えば、製造業A社では、輸出業務全般で、これまでPDFや紙で受け取っていた海外工場からの膨大な梱包明細(P/L)をTrade Hubにアップロードするだけで、インボイスやパッキングリストなどの輸出書類が自動生成されるようになった。P/Lのページ数が70ページ以上になるケースもあり、従来は入力作業とチェック作業に多大な時間と労力がかかっていたが、Trade Hubの導入により、これらの作業が大幅に削減され、担当者の負担が軽減。原産地証明書もウェブ申請データが自動生成されるため、入力業務が不要になった。さらに、作成された輸出書類のチェック、返信されるドックレシートやB/L(船荷証券)との照合も自動化され、照合作業時間も劇的に短縮されたという。記載ミスによるディスクレ(不一致)の心配も減り、担当者の精神的な負担も軽減されたとのことだ。

別の卸売業B社では、輸入業務において、船積書類と発注データ(PO)の照合をTrade Hubで自動化。B/L、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書などをアップロードするだけで、書類間の不整合やPOとの差異が自動で検出されるようになり、入力・照合時間が従来の半分に短縮された。さらに、書類から生成されたデータを、一部確認・修正のうえ、システムのコード体系に変換したシステム登録用データとして出力。RPAツールと連携することで、基幹システムへの登録も自動化され、手入力業務も大幅に改善されたという。

これらの事例に加え、製造業C社では、請求書処理において、月末に集中していた仕入先からの諸掛請求書の仕分けとシステムへのデータ入力業務をTrade Hubで自動化。請求書をまとめてアップロードするだけで、AI-OCRが案件単位で自動仕分けし、システム登録用のデータを自動生成。その結果、月末の請求書処理業務にかかる時間が従来の4分の1に短縮されたという。

「関西物流展」でTrade Hubを体験

このように、Trade Hubはさまざまな企業の貿易業務を変革している。その詳細な機能や操作性、そして自社に合った活用方法については、ぜひ「関西物流展」の双日テックイノベーションブースで直接確かめていただきたい。デモンストレーションや導入事例の紹介、専門スタッフによる相談会も実施される予定だ。

貿易業務の現場は今、変革期を迎えている。長年続いてきた紙とExcel中心の業務プロセスは、デジタル技術の進化によって、見直しの時期にきていると言えるだろう。Trade Hubのようなソリューションが、その変革をどのようにサポートし、貿易業務の未来をどう変えていくのか。今後の動向から目が離せない。

「第6回 関西物流展」概要

会期:2025年4月9日(水)-11日(金)10時〜17時(最終日は16時まで)
会場:インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
来場方法:公式ウェブサイトでの「来場者事前登録」が必要(無料)
https://kansai-logix.com

【双日テックイノベーション 展示ブース情報】
カテゴリー:物流業務支援
ブース番号:B3-36