調査・データReport Ocean(レポート・オーシャン、東京都中央区)は22日、日本のドローン市場は、2024年の18億ドル規模から、33年には4倍を超える75億ドル規模に達するとしたレポートを公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は11.5%を見込んでいる。
レポートによると、日本ではドローンの導入によって、農業の生産性が大きく向上している。人工知能(AI)と高度な画像センサーを搭載したドローンは、田畑の水利や農薬散布、作物全体のモニタリングの最適化を支援し、運用コストを削減することで生産性を向上させている。
国産ドローンメーカーのNTT E-Drone Technology(埼玉県朝霞市)は24年に農業用ドローン「AC101 Connect」を発売。最先端の精密散布機能を持ち、作物別の施肥を組み込むなど、高齢化と農業従事者の減少による労働力不足を緩和するのに役立つと期待されている。また、ドローン導入に対する政府の補助金も、近代的で持続可能な農法への転換を促し、ドローンを食料安全保障の向上と農業の効率化に不可欠なツールにしている。
また、ドローン配送サービスも市場の成長を後押ししている。医療品や食料品など必要不可欠な物資を迅速、効率的に配達することが可能になることから、政府の支援もあり、日本の山間地域における物流の課題の解決に向けた取り組みが進んでいる。東京都は昨年12月から目視外飛行(BVLOS)による医療配送試験に取り組んでいる。
スマートシティ構想を推進するうえでも。ドローン配送は重要な役割を果たすと見られることから、今後、数年間で市場を急成長させる原動力の一つとなる。
一方、ドローンに関する規制が普及の障害となっている。特にBVLOSや夜間飛行、人口密集地内でのドローン運用を規制する厳しい規制は、ドローン配送サービスや都市インフラ管理などの商業用途での普及の妨げになっており、ドローン運用に必要な許可を取得するのに、時間も費用もかかっている。
業界団体が実施した調査でも、規制上のハードルはドローン操縦者が挙げた主な課題の一つとなっている。政府は承認プロセスの合理化に取り組んでいるが、進展は遅く、安全への懸念とイノベーションの育成のバランスが市場成長の主な障害となっている。
24年の同市場で最もシェアを占めているのは、監視や情報収集、戦闘、目標捕捉など幅広い用途で利用されている防衛分野で、防衛能力や国境警備、テロ対策の強化が、高度なドローン技術への投資を促す主な要因となっている。
今後の見通しでは、農業分野がシェアを伸ばすことが予測され、害虫駆除や作物モニタリング、田畑の水利、植物の品質管理などの効率化に貢献する。ドローンは土壌の状態や作物の生育状況、収穫量の予測に関する詳細なデータを収集することができ、農家は資源の最適化や労力の軽減で生産性を高められることから、「農業人口の高齢化などの課題に直面する中、ドローンは持続可能な農業を確保し、長期的な産業効率を高めるために不可欠となる」と指摘している。
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