荷主住友林業とレンゴーは23日、木質由来のバイオエタノール生産に関する基本合意書を締結した。両社は2025年12月をめどに共同出資会社を設立し、27年までに年間2万キロリットルの商用生産を目指す。住友林業の住宅建設現場から出る建築廃材を活用し、持続可能な航空燃料であるSAFの原料となるバイオエタノールを生産する。

▲建築廃材でつくった木材チップイメージ(出所:住友林業)
製造工程では、レンゴーの子会社Biomaterial in Tokyo(福岡県大野城市)が保有する木質バイオマスのエタノール変換技術を活用する。製造拠点はレンゴーグループの大興製紙(静岡県富士市)の本社工場内に設置。住友林業は静岡県周辺の自社住宅建設現場から発生する建築廃材を収集し、国際航空業界の排出削減枠組みCORSIAの認証適格原料として供給する。製造したバイオエタノールは燃料事業者に販売し、SAFに転換後、航空燃料として使用する。また、製造過程で副産物として発生するリグニン成分を住宅用塗料等の材料とする有効活用法の検討を並行して進める。
国際航空分野では50年までにCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、SAFは従来の石油由来ジェット燃料と比べCO2排出量を7-8割抑制できる。2050年にはSAFが4.5億キロリットル必要と推計される一方、22年時点の供給量は30万キロリットルにとどまる。日本政府は30年から国内航空会社の使用燃料の1割をSAFに置き換える目標を設定し、同年の国内需要量を172万キロリットルと試算している。
住友林業は24年1月にバイオリファイナリー推進室を発足し、木材成分のバイオマス化学品や燃料としての活用に向けた技術開発とビジネスモデルの検証を進めている。今回のプロジェクトを通じ、木質バイオエタノールの量産技術を早期に確立し、化石燃料からバイオ燃料への転換を促進してCO2排出量の削減に貢献する方針だ。
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