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三菱UFJ信託、テナントから物流施設の地域特性分析

2025年5月8日 (木)

調査・データ三菱UFJ信託銀行は8日、不動産マーケットリサーチレポートVol.279「テナント構成で見る物流施設立地」を発行した。

J-REIT(不動産投資信託)は投資家から集めた資金で不動産を購入し、その賃貸収入を投資家に分配する金融商品。上場していることから市場で売買でき、少額から不動産投資が可能となる特徴を持つ。J-REITが保有する物流施設500物件以上を分析したところ、全国196市区のうち33市区に全体の47%が集中する傾向を見出した。9市区では10物件以上が立地し、24市区では5-9物件が立地している。71市区では2-5物件未満、92市区では1物件が立地している。

物流施設のテナント構成を地域別に分析すると、千葉県習志野市周辺では東京圏の巨大消費地に位置。食品や雑貨を扱うスーパーマーケットやEC(電子商取引)企業、食品系メーカーが多く、家庭向け商品の保管・発送拠点として機能している。一方、埼玉県久喜市周辺は関東内陸部の東北道と圏央道の結節点に位置し、製造業の事業所が多い地域特性を反映して、建設資材を取り扱う卸・商社や生産系企業が目立つ。

特定の業種が集積する地域として、川崎市川崎区では食品加工センター、東京都板橋区では酒類卸業者、千葉県八千代市ではフットウエアブランドなど、地域特有の業種集積が確認できた。大阪市では、湾岸部の此花区に機械を扱う生産系企業が多い一方、住之江区では雑貨を扱う小売業の割合が高く、消費地近接型の立地特性を示している。九州の交通の要衝である佐賀県鳥栖市では、九州の東西南北を結ぶ高速道路の結節点という立地を活かし、雑貨を扱う生産系企業や小売業の割合が高く、九州各地へのアクセスの良さが評価されている。

これら8地域の物流施設における期待利回りは、直近5年間で0.39-0.63ポイント低下しており、全国平均の0.38ポイントを上回る。物流施設の集積と地域特有のテナント需要が重なることで、施設の将来性が高く評価され、価格上昇につながっていると分析している。

同行は今後、地価や建築費の高騰に伴う賃料上昇圧力により、物流会社が借主となる従来型から、エンドテナントが直接借主となり物流会社がオペレーションを請け負う形態が増加すると予測。物流施設の開発や投資において、地域におけるエンドテナントの需要分析がより重要になると指摘している。

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LOGISTICS TODAY編集部
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