ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

JFEエンジ製作所に輸送ロケット開発拠点新設

2025年5月29日 (木)

調査・データJFEエンジニアリング(JFEE、東京都千代田区)は28日、再使用型ロケットの開発に取り組む将来宇宙輸送システム(ISC、中央区)と、宇宙への輸送ロケットの実現に向けて協業し、JFEE鶴見製作所内に新たな開発、組み立て拠点「鶴見ベース」を設けると発表した。また、同社は日本国内の民間宇宙スタートアップとしては初めてとなる垂直離着陸型宇宙ロケットの打上げ、着陸実験をことし、米国で実施することも明らかにした。

JFEEの鶴見製作所は、シールド掘進機やディーゼルエンジン、蒸気タービンなどの大型産業機械を製作している同社の機械系ものづくり拠点。近年では金属3Dプリンターなどの最先端技術や、航空宇宙産業に適した金属積層造形機を複数台導入するなど新たな分野への参入を図っている。今後、ISCにロケット組立作業の施設を提供するとともに、幅広い領域で協力し、量産体制確立への参画も視野に入れている。

また、ISCは年内に米国で実施する予定のロケット垂直離着陸実験「ASCA 1ミッション」の概要も発表した。

(出所:将来宇宙輸送システム)

ISCは2022年の創業以来、日本発の再使用型ロケット開発プロジェクト「ASCA(アスカ)ミッション」の実現を目指しており、今回の実験では、初期フェーズにあたる技術実証機ASCA1.0を高度100メートル以上まで上昇させ、着陸目標地に誤差5メートル以内に着陸させる。

ASCA1.0には米Ursa Major製のHadleyエンジン2基を搭載し、機体質量の40%を3Dプリンターで製造する。金属3Dプリンターによる製造としては、国内最大規模となる。打ち上げは、米ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカを予定している。

今後、27年前半にサブオービタル飛行実験を実施し、28年前半には衛星軌道投入実験を計画。段階的な開発と将来的な実用化を目指す。

通常、ロケット開発は発射試験だけでも、年単位の開発・試験スケジュールを立てるが、ISCは開発と検証を段階的に反復し、フィードバックを即時反映するアジャイル型開発体制を取っている。これによって、構想開始から1年での実証試験体制の確立を実現した。

ISCでは「まだまだ数々の困難があるが、宇宙産業を日本の新たな基幹産業へと成長させていくために必要不可欠となる宇宙輸送システムの実現に向け、社員一丸となって取り組んでいく」としている。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com