調査・データタナベコンサルティング(東京都千代田区)は12日、「2025年度 経営者の成長投資アンケート(グローバル)」の結果を発表した。アンケートは全国の企業経営者、役員、経営幹部などを対象に169件の有効回答を得た。
海外事業を展開している、あるいは今後取り組む意向を持つ企業は全体の6割を超える結果となった。実際に「展開している」と回答した企業は43.2%、「現在は展開していないが、今後取り組みを検討中」と回答した企業は18.3%となった一方、「今後も取り組む予定はない」とする企業は38.5%だった。海外事業を展開する企業が推進する取り組みの内容は「現地パートナー(販売代理店含む)との業務提携」(56.2%)が最多であり、前年度(50.3%)からも増加した。次いで「現地法人設立(生産拠点含む)」(49.3%)となり、こちらも前年(37.9%)から大幅に増加した。
円安によるプラスの影響として挙げられたのは「為替差異による利益増加(円)」(69%)が最多だった。前年(51%)から大きく上昇した。次いで「輸出量増加に伴う売上増加」(48.3%)、「為替差異による海外販売価格(現地通貨)の低下と売上増加」(27.6%)が続いた。一方で、「海外現地での新規顧客・販路拡大」(13.8%)や「インバウンド増加による売上増加」(3.4%)は前年より大きく減少しており、構造的な需要の拡大にはつながっていない実態がわかった。
円安によるマイナスの影響としては「原材料/燃料費高騰によるコスト増加」(82.6%)が最多。次いで「コスト増加分を価格転嫁できないことによる減益」(43.5%)、「価格転嫁による売上減」(34.8%)と続き、特に輸入依存度の高い製品や原材料を扱う企業にとって円安が深刻な課題となっている。一方、「海外拠点運営の難航(維持コストの利益圧迫)」(8.7%)、「予定していた海外進出・拡大の停滞」(4.3%)、「外国人人材の流出・採用難」(4.3%)は前年から大きく減少した。
また、海外事業を展開している企業において、売上高全体に占める海外事業の売上高比率を尋ねると、「10%未満」と回答した企業が60.3%と最多となった。売上構成のうえでは依然として国内市場への依存が強く、海外事業は補完的な位置づけにとどまっている企業が多いことがわかる。
海外事業戦略を検討・推進する上で優先的に取り組むべきテーマは「グローバル人材(事業推進者)の確保」(52.1%)が最多。前年(60.2%)からやや減少したものの、引き続き最重要課題として位置づけられている。一方、24年度に上位を占めた「各国の規制や法制度、商慣習への対応」(24年度52.8%)や「グローバル市場の理解」(同52.2%)が25年度にはそれぞれ34.2%、23.3%へ大きく減少。制度理解や市場リサーチといった前提作業がある程度進んだ企業が増えたが、実行段階へシフトしていることが背景にあると考えられるとした。
同社の分析によると、海外進出に対する企業の意識は一様ではないものの、今後の3年間においては新規展開と既存市場の深耕の両面で前向きな動きが徐々に広がる兆しがうかがえる。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部