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名古屋‐広島間で化学品共同鉄道輸送の実証開始

2025年7月29日 (火)

調査・データ日本貨物鉄道(東京都港区)は29日、化学業界の物流課題解決に向けた東海・中国地区での鉄道輸送による共同物流の実証実験を開始すると発表した。経済産業省・国土交通省が主導する「フィジカルインターネット実現会議」内の「化学品ワーキンググループ」が実施する取り組みで、同社が物流会社として鉄道輸送を担う。

▲スキーム概要図(クリックで拡大、出所:JR貨物)

実証実験は2025年8月から26年1月にかけて実施する。愛知県名古屋市から広島県広島市・大竹市の貨物駅を中継地点とし、31フィートコンテナを用いた標準スキームの構築を目指す。化学品ワーキンググループには現在、荷主事業者と物流事業者を中心とする81企業・1大学、日本化学工業協会、石油化学工業協会、経済産業省・国土交通省の関連各部署が参加している。

化学業界では物流の24年問題により輸送能力不足が深刻化している。30年には営業用トラックの輸送能力が34%不足するとの試算がある。化学品物流は貨物の物性・梱包形態・重量などの特殊性により、輸送方法・条件が多岐にわたり、個社単位での課題解決には限界がある。同ワーキンググループは24年度に四日市市から市原市間でトラック輸送による共同物流の実証実験を実施し、トラック積載率20ポイント改善、CO2排出量28%削減の効果を得た。

今回の実証実験では、一般的な12フィートコンテナに対して積載効率が高い31フィートコンテナを活用する。単独荷主では工場から消費地への輸送方向が一方向に偏るなど効率的な運用が難しい。しかし、複数荷主で専用コンテナを運用することで最適な輸送を実現する。参加企業は荷主として三菱ケミカル、東ソー、三井化学、物流会社としてJR貨物と日本通運が名を連ねる。

▲31フィートコンテナ(出所:JR貨物)

実証実験では三菱ケミカル、東ソーからの発荷を名古屋貨物ターミナル駅発で中国地区へ輸送し、三井化学からの発荷を大竹駅発で東海地区へ輸送する。31フィートコンテナを活用するために必要な各種申請と課題を抽出し、実装に向けた標準スキームとして取りまとめる。単独荷主のトラック輸送から専用コンテナを複数荷主で運用する鉄道輸送にモーダルシフトすることで、GHG削減、複線化によるBCP対応、定時運行性の向上に加え、ドライバー労働時間削減、長距離トラック台数削減、モーダルシフトで生まれたトラック輸送の余力活用にも期待できる。

今後、化学品ワーキンググループでは中長距離輸送でのトラック輸送のモーダルシフト、エリア集荷・配送などの物流協力、資材・コードの標準化やペーパーレスなど物流効率化の検討を進める。最終的には東海・中国地区での共同物流の実現と、日本全国に展開可能な共同鉄道輸送に向けた標準スキームの構築を目指している。

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