ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

従業員退職型の賃上げ難倒産が過去最多に

2025年3月11日 (火)

調査・データ帝国データバンク(TDB)は9日、人手不足が深刻化するなか、従業員の退職が原因で経営破たんする「従業員退職型」の倒産件数が、2024年には87件と過去最多に達したと発表した。特にIT産業や老人福祉施設などのサービス業、建設業など、人材の定着率に課題のある業種で多かった。

昨年1年間に負債1000万円以上で倒産した企業のうち、人手不足が原因で倒産したケースを集計、分析した。

同社によると、昨年の人手不足が原因の倒産は342件で、このうち、従業員や経営幹部などの退職が直接、間接的な要因となった「従業員退職型」倒産は87件だった。前年67件から20件増加し、19年の71件も上回って、13年以降で最多となった。

業種別にみると、最も多いのが「サービス業」の31件で、全体の35.6%を占めた。特に多いのがソフトウエア開発などIT産業のほか、人材派遣会社、美容室、老人福祉施設など、いずれも人材の定着率が他産業に比べて低い傾向にあり、人手不足感を抱える産業が中心だった。

次いで多いのが「建設業」の18件で、設計者や施工監理者など業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員が退職し、事業の継続が困難になった企業などが目立った。また、「運輸・通信業」と「製造業」はともに12件で、初めて年間10件を超えた。ドライバーや工場作業員の退職がきっかけとなるケースが相次いだ。

同社は「深刻な働き手不足を背景に人材流動性が高まるなか、満足に賃上げされないことや、待遇改善に消極的な経営に嫌気がさした役員や従業員が退職するなど、待遇改善をしないことへのリスクが中小企業を中心に高まっている」と指摘。「賃上げ難」による倒産が、25年に増加する可能性があるとしている。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com