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第三回物流DX会議、コンソーシアム発足で実装加速

2025年8月25日 (月)

ロジスティクス8月22日にオンラインで開催された「第三回物流DX会議」は、これまでの「連携事例の提示」から一歩踏み出し、具体的な社会実装を目指す「物流DXコンソーシアム」の発足を宣言する、新たなステージへの移行を鮮明にした。各セッションでは、3社以上が絡む複合的な連携事例が多数紹介され、業界横断での課題解決に向けた具体的なアクションが示された。

▲「物流DX会議」発起人のプラスオートメーション田口智士氏(中央)

会議の最大の発表は、「物流DXコンソーシアム」の正式な立ち上げだ。オープニングセッションに登壇したプラスオートメーションの田口智士氏(同コンソーシアム理事長)は、「これまでの連携の取り組みをさらに推進し、具体的な成果物を作ることを目指す」と宣言。コンソーシアムの主な目的として、ベンダー間の協調領域として異なるシステム間の「標準インターフェース」の仕様を策定・確立することを掲げた。これにより、荷主や物流事業者が、既存システムに大きな改変を加えることなく、より自由に最適なソリューションを組み合わせられる環境の構築を目指す。

会議では、コンソーシアムの理念を体現する先進的な連携事例が複数発表された。大和物流の事例では、住友商事の計画系ツール「スマイルボードコネクト」と、クランドの実績収集ツール「ロジメーター」を連携。作業者一人ひとりの実績を1分単位で正確に収集し、計画と実績のギャップを分析することで、データに基づいた精度の高いPDCAサイクルを実現している。

▲(左から)大和物流の末次氏、住友商事の犬山氏、KURANDOの岡澤氏

また、SBSホールディングスが大塚商会の物流センターで実践する事例では、ギークプラスの棚搬送AGV(無人搬送車)とアイオイ・システムのプロジェクションピッキングを連携。AGVが棚を作業者の元へ運び、プロジェクターがピッキング対象の商品を光で指し示すことで、「歩行」と「探索」という庫内作業の二大ボトルネックを解消するセミオートメーション化を達成した。この事例では、物流事業者であるSBSが主体となり、自社投資で導入を判断したことが成功の要諦となった点も共有された。

さらに、中小企業の自動化を後押しする動きとして、ロジザード(クラウドWMS)、プラスオートメーション(ロボットサブスク)、YEデジタル(WES)の3社が協業し、中小企業向けの連携パッケージを開発・提供することが発表された。WMS導入からサブスクロボットによる検証、WESによる複数機器の統合まで、リスクを抑えながら段階的に全体最適へ進むための道筋を提示した。このほか、アプトとHEROZは、WMSやWCSなどの機能を垂直統合し、AIが倉庫全体を俯瞰してボトルネックを回避する新コンセプト「WXS」を提唱した。

▲(左から3人目から)ロジザードの柿野氏、YEデジタルの浅成氏、プラスオートメーションの田口氏

最終セッションには経済産業省、フィジカルインターネットセンター(JPIC)、日本3PL協会が登壇 。DX人材の不足や3PL事業者の投資困難といった業界全体の課題を改めて確認するとともに、それらを乗り越えた先にある究極の姿として、複数企業の物流リソースをシェアする「フィジカルインターネット」の実現というゴールが共有された。

▲(左から2人目から)経済産業省の宮本氏、JPICの奥住氏、日本3PL協会の八木氏

今回発表されたコンソーシアムや各社の連携は、このゴールに向けた重要な一歩であり、国としても補助金などで後押ししていく方針が示された。

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