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日昇会、坂本克己全ト協最高顧問が特別講演

2025年8月26日 (火)

ロジスティクス政官民の物流関係者による勉強会組織「日昇会」は26日、東京・永田町の参議院議員会館で第5回勉強会を開催した。

会は参議院議員で国土交通大臣政務官などの経験もある朝日健太郎議員の挨拶で始まり、これまで全日本トラック協会(全ト協)の坂本克己会長(当時)と何度も討議を重ね、物流の改革に取り組んできたことなどが語られた。

▲全日本トラック協会、坂本克己最高顧問

今回の勉強会は、6月に成立した改正貨物自動車運送事業法を踏まえ、今後の業界の方向性を議論する場として企画された。特別講演には、全ト協の最高顧問を務める坂本氏が登壇し、「トラック適正化二法(議員立法)について」をテーマに講演。坂本氏は法改正について、「百年の計となる法改正は、政治、行政、業界の尽力の賜物。しかしまだこれは端緒であり、これから皆で力を合わせて魂を入れていってほしい」と語った。

また、「正直者が馬鹿を見るのでは業界に未来はない。白トラ、名義貸しなどの『悪貨』が良貨を駆逐しない業界にするべきだ」と力説した。さらに、「自分たちが苦しむような法律を作り、現場で働く人たちの暮らしをよくしようと取り組んでいる業界はほかにはない。国内で汗を流している働き手のためにも、同様の動きがほかの業界にも波及してほしい」と期待を語った。

会に先駆けて事前勉強会が開催されており、それについて事務局を務めるアセンド(東京都新宿区)の日下瑞樹社長から説明が行われ、それに対して関係省庁担当者が回答。国土交通省の物流・自動車局、三輪田優子貨物流通事業課長は「適正原価、請け負い回送の制限、事業許可更新制など、関心の高さを感じている。ルールの設定は難しいが、魂の入った制度設計を目指したい」と語った。また、同課長補佐の宮浦広樹氏からは、「許可更新制のスタートに向け、12月から各種申請のオンライン化を進める」との取り組みが紹介され、「これを手始めとして、業界のDX化に寄与したい」と意気込みを語った。

▲日昇会参加者一同

事前勉強会では農産品輸送を手がける有馬運送(長崎県南島原市)の事例が紹介され、積載率が低い閑散期は個建てで運賃の十分な収受が難しいことが示された。また、運行は改善基準告示ギリギリのスケジュールで行われており、「事故や気象条件によってはオーバーしてしまうこともあり、それも許されないというなら、便を断るしかない」と現場の状況が紹介された。

農産品輸送については農林水産省の丸田聡物流生産性向上推進室長は「農産品物流の効率化、積載率の向上、積み合わせの促進などを図っていく」との方向が示されたが、一方で「2024年問題の以前から、1次産品の長距離輸送問題の解決や、消費地での荷受けの集約化を目指していたが、いずれも実現化できておらず、物流の持続性に危機感を持っている」とした。

▲事務局を務めたアセンドの日下瑞樹社長

事業者側からは「適正原価」がどう運用されるかについてに関心が集まり、エイエスエムトランスポート(山形県酒田市)の工藤亜紀子社長からは、「雪国ではスタッドレスタイヤなどの原価が必須だが、そうした購入費用も原価に含まれるのか」との疑問が提出され、「車両自体、7年前は今よりも1割安く購入できた。物価の上昇を折り込んだ原価が提示できる制度にして欲しい」と語った。

国交省の三輪田氏は「原価の規定は、一定期間にわたって原価を下回る報酬になることを避けるような制度設計を目指している」とし、より現場の感覚に合った制度作りを目指す姿勢を示した。

会のまとめとして朝日氏が発言。「制度を作って運用するためには業界の話を真摯に聞く必要がある。また一方で、荷主からもしっかりと聞き取りをし、実効性のある制度を目指す」とした。

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