行政・団体国土交通省の2026年度予算概算要求のうち、鉄道局関係予算は1205億円で前年度比1.13倍となった。鉄道局では26年度事業として、鉄道ネットワーク整備や地域鉄道支援に加え、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)を柱とした鉄道分野の高度化を打ち出しており、その中には物流領域に直結する施策も複数盛り込まれている。
鉄道ネットワークの整備推進の一環として、「整備新幹線の建設推進及び高度化等」に19億2300万円(国費)を要求した。同事業には「青函共用走行区間における新幹線列車の高速走行調査・開発」が含まれる。同区間は新幹線列車と貨物列車が共用するため、安全を確保しつつ新幹線の高速化を図ることが課題となっている。調査では、時間帯区分方式の段階的拡大の可能性を検討し、将来的な高速走行と安定的な貨物輸送の両立を目指す。

▲荷役機器の投入(出所:国土交通省)
「地域鉄道の安全性・利便性向上の促進」では、JR北海道、JR四国、JR貨物に対する経営支援が盛り込まれた。これらは鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定によって予算化される。JR貨物については、24年度から26年度までの中期経営計画期間内で総額193億円を計上し、助成金や無利子貸付、青函トンネル・本四連絡橋更新費用支援、出資、利子補給など多様な手法で支援する。JR貨物では、この支援をトップリフターなど荷役機器の導入に活用し、輸送力強化や作業効率化を進めている。
「鉄道分野におけるGX・DX投資加速」の具体策としては、「物流革新に向けた貨物鉄道ネットワークの強化と更なる活用」を掲げた。まず「貨物駅・ネットワークの災害対応能力を含む機能強化の促進」事業では、幹線鉄道等活性化事業費補助として12億2600万円の内数(国費3億6700万円の内数)、鉄道施設総合安全対策事業費補助として410億3900万円の内数(国費137億1900万円の内数)を要求した。近年、豪雨などの自然災害による長期不通が頻発し、荷主離れを招いていることを踏まえ、代行輸送拠点となる貨物駅の積み替え施設整備や、脆弱箇所への事前防災対策を推進し、輸送障害に強い貨物鉄道ネットワークを構築する。
また、「鉄道へのモーダルシフトの強力な推進」では、同じく事業費12億2600万円の内数、国費3億6700万円の内数を要求した。従来は12フィートコンテナが主流であったが、輸送効率化の観点から今後は10トントラックからの積み替えに適した31フィートコンテナの導入拡大が課題とされる。そのため、輸送需要が高まる貨物駅でのコンテナホーム拡幅など施設整備を進め、さらに先進的取り組みを行う事業者に対しては大型コンテナの導入経費を支援し、鉄道貨物輸送力の拡充とモーダルシフト促進を目指す。

▲31フィートコンテナの取り扱い拡大(出所:国土交通省)
鉄道局の26年度予算概算要求は、前年度比でやや拡大するなか、物流関連では青函区間の高速化、JR貨物への経営支援、災害対応力の強化、モーダルシフト推進といった多面的施策の実施を視野に入れる。人口減少やドライバー不足が深刻化するなかで、鉄道貨物の役割は一層高まっており、今回の予算要求は物流革新と持続可能な輸送ネットワーク確立に向けた重要な布石となりそうだ。
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