ロジスティクスAIRDO(エア・ドゥ、札幌市中央区)とアグリゲート(東京都品川区)は1日、「北海道から直送!旬八×AIRDO 道産空輸フェア」を、アグリゲートが運営する東京都内の都市型青果スーパー「旬八青果店」で開催した。

▲「旬八青果店 天王洲店」店頭キャンペーンの様子
このキャンペーンは、北海道庁・航空課による「航空貨物輸送網強化事業」の一環。2024年問題の解決に向けた航空輸送活用の促進と、道外への販路拡大を目指す生産者と道産品調達を希望するバイヤーとの取引創出を図るもので、航空貨物輸送の優位性と北海道産品をアピールするために、同日から10月26日まで都内の旬八青果店6店舗で開催される。初日は、店頭試食会も行われた。
エア・ドゥ北海道室長の工藤智章氏は、「昨年から自社の旅客運用便を利用した『道産空輸AIRDOダイレクト便』のサービス提供を開始し、道内の生産地からの最速輸送で航空輸送利用を呼びかけてきた。今回、旬八青果店での販売までをつなげた事業として検証することで道産品の魅力を広め、航空貨物利用の拡大につなげたい」と語る。
北海道総合政策部航空港湾局航空課課長の丹野正樹氏は、「2024年問題対応として、トラックなどに代わる輸送ルートの確保、航空輸送の有用性について広く認知してもらうことが重要。特に北海道の新鮮な農産物の魅力を道外の人々に知ってもらうことで、旅客機利用という運び方、リードタイム短縮などの優位性を生かした物流ルートを認知してもらうきっかけとしたい」と語る。道内ではいまだにトラック輸送で、新千歳空港へと航空貨物を集める運用に頼る状況があり、今回の取り組みは、道内の各空港から、直接国内各地へ空輸できる仕組みを構築することで、航空輸送利用促進とともに道内トラック運送のあり方を見直すものとなる。
初日のキャンペーンは、女満別空港、旭川空港、釧路空港の3空港からエア・ドゥ旅客便貨物スペースを利用して東京へ直送した青果や加工品を販売。店頭では、女満別空港から直送された網走産の生食可能なとうもろこし「ゴールドラッシュ」を店頭でふるまい、航空輸送だからこその新鮮さ、果物のような甘さに驚く利用者も見られた。
アグリゲートCEOの左今克憲氏は、「これまで北海道産青果の調達は、小規模の宅配便利用と、大田市場経由に頼らざるを得なかった。今回は、道内各地の生産品をリーズナブルで柔軟に紹介できるような中規模物流の北海道空輸ルート開拓となり、バイヤーとしての私たちの知見を生かしたサービスとしたい」と語る。航空便利用により、希少性の高い特産品も鮮度や熟度が高いまま付加価値のある商品として訴求できるのに加え、「これまでは産地でしか消費されていなかった傷やスレのある規格外のB級品も、普段使いで首都圏の食卓に取り入れてもらうきっかけとなる」(左今氏)と語る。
限られた高級品だけではなく、価格的にも日常で楽しめる道産直送品販売の枠組みを構築することで、生産、販売、輸送、さらには消費者まで関係者すべてにメリットのある取り組みとなることが期待される。航空便だと“朝獲れ”ばかりに注目しがちだが、「今回のゴールドラッシュも、新鮮かつ、もっとも美味しい運び方で、東京の消費者に紹介できた」(左今氏)と、おいしいタイミングを知り尽くしているアグリゲートの知見が輸送に生かせるのも強みだ。現地に足を運んで見つけてきた優れた道産品を紹介することで消費者の需要を喚起し、この枠組みが定着、拡大することに期待を寄せる。
まずは北海道-東京間で検証をスタートする形だが、航空輸送のメリットがより生かせる長距離輸送、例えば福岡などへの販路拡大も想定される。九州では青果の価格が高騰する一方で、北海道では一時的に生産品がだぶつき卸値が下落するといったケースも見られる。鮮度・品質を保ちながら道産の規格外品の販路や輸送ルートを広域で確立することができれば、適正価格の販売を後押しすることにも貢献する。事業スキームとして確立するまでには、安定した定期的な物量の枠組み作りや、生産地と空港間の輸送などもより利用しやすい仕組みやインフラが必要となるかもしれない。今回の事業取り組みを通じて、そうした改善点の検証も深められる。
今後旬八青果店では、引き続き他店では入手できない道産直送品の紹介を続け、利用空港のエリア、商品も拡大していく。今後、ミニトマト、ピーマンや新米、秋に向けてはリンゴや洋梨なども東京の消費者に紹介したいといい、左今氏は「今度は函館空港からの直送に向けて、現地にむかう」という。
工藤氏は、「道産直送品に魅力を知ってもらうには、まず食べてもらうこと。新しい物流モデルで運ぶだけの価値がある、旬八青果店が選りすぐった品物をリーズナブルに入手できるチャンスから、航空輸送をより身近なものに感じてもらいたい」と呼びかけた。

▲左から、アグリゲート左今氏、AIRDO工藤氏、北海道丹野氏
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