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Hacobuが描く物流DX人材の新しい職域

2025年9月24日 (水)

記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「Hacobu、物流人材紹介サービスを開始」(9月9日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)

ロジスティクス物流DXサービス「MOVO」(ムーボ)を展開するHacobu(ハコブ、東京都港区)は、新たに人材紹介事業「Hacobu Career」(ハコブ・キャリア)を立ち上げた。ドライバーや倉庫作業員といった現場人材に特化した紹介サービスは多いが、同社が対象とするのは運行管理者や物流企画職などの管理・企画部門だ。

MOVOは現在、全国3万5000の営業所で利用されている。同社COOの横井直樹氏によると「顧客とのコミュニケーションを取るなかで、物流現場のデジタル化が進む一方、データを活用できる人材が不足している」という現状が明らかになったという。同社はこうしたニーズに応えるかたちで新事業を展開する。横井氏は「導入企業からは『せっかくデジタルシステムを入れてデータが取れるようになったのに、それを分析・活用できる人が社内にいない』という相談が多く寄せられている」と語る。

同社は創業から10年にわたり物流情報プラットフォームの構築を進め、月間250万件を超える輸配送データを蓄積するまでに成長したが、活用できる人材不足が成長の壁となりつつある。

横井氏は「物流業界は『勘・経験・度胸』に頼るKKD業界などと言われるが、データ活用が進むと求められるスキルが変わってくる。そこを担う人材の不足を補う必要がある」と指摘。さらに「『ノウハウを持った人材がいない』『けん引できるリーダーがいない』という声は、大手だけでなく中堅・中小企業からも多く寄せられている」とし、幅広い規模の企業で人材ニーズが顕在化していることを強調した。

▲Hacobu横井直樹COO

求められる人材像は、必ずしも高度なプログラミング能力を持つ必要はない。同社CEO室の平松育氏によると、「現場を理解し、デジタルツールに抵抗がなく、自ら改善を推進できる人物」が望まれているという。具体的にはSQLによるデータ抽出や基本的な分析ができれば十分で、物流業務の知見と組み合わせて業務改善に取り組むことが期待される。

人材紹介の仕組みは一般的なエージェント型を採用。登録者の多くは物流業界の経験者だが、将来的には異業種からの参入も視野に入れる。平松氏は「物流企画職はこれまで定義が曖昧で、キャリアパスが見えにくかった。スキルを標準化し、明確にしていくことが必要」と述べる。業務内容やスキルを見える化・標準化することで、新卒や異業種出身者も物流企画やバックオフィス業務を目指せるようにし、業界全体の人材裾野を広げていく考えだ。

▲同社CEO室の平松育氏

物流・運送業ではドライバー不足が注目されがちだが、管理・企画部門の人材難も深刻化している。同社は自社の知名度や物流理解を強みに、候補者の経歴整理や企業の求人要件の精緻化を図り、専門性のあるマッチングを実現する。平松氏は「人材が流動化するということは離職率の上昇も意味するので、それが必ずしも前向きな面だけではない」と前置きした上で、「こうした物流人材の存在が認知され、流動性が高まれば給与水準の改善や業界の魅力向上にもつながる。若い世代の中にはキャリアパスが見えないために辞めてしまう人もいるが、将来を見据えて物流の仕事に取り組む環境づくりに寄与していきたい」と語る。横井氏も「物流は社会インフラとして面白い分野。デジタル人材の標準化を進め、効率化とともに業界の魅力を高めていきたい」と意欲を示している。

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