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標準運賃届け出は進むも交渉停滞、東ト協連調査

2025年10月17日 (金)

調査・データ東京都トラック運送事業協同組合連合会(東ト協連)は15日、運賃の実態や労働環境の変化を把握するため実施している「運賃動向に関するアンケート調査」の第43回結果をまとめた。調査は2025年7月末時点で、加盟40協同組合の200事業者を対象に行い、168社から回答を得た(回収率84%)。運賃水準の改善傾向は続くものの、荷動きの鈍化やドライバーの高齢化、運賃交渉の停滞など、業界の構造課題が浮き彫りとなった。

運賃は「標準的な運賃」より低いが改善傾向

「標準的な運賃」と比較して現行運賃が「低い」と答えた事業者は71.6%で、前回より9.3ポイント減少した。代わりに「ほぼ同額」や「高い」とする回答が増加しており、荷主との交渉が一部で成果を上げつつあることがうかがえる。運賃の割増を希望する割合では「10-15%未満」が最多(41.2%)で、前回から7.1ポイント上昇した。一方、今後半年の見通しでは「特に変わらない」が76.6%と大幅に増加し、値上げの勢いには一服感がみられる。

標準的運賃の届け出進むも、交渉は慎重姿勢

回答者の98%にあたる165社が標準的運賃を届け出済みとしたが、荷主との交渉に踏み切ったのは36.4%にとどまり、前回より減少した。「交渉しない」とする回答が29.7%に増え、理由としては「受け入れられないと思う」が65.6%と最多だった。一方、交渉した事業者のうち「認められた」は49.2%と前回から18ポイント増加しており、成果を得たケースも広がりつつある。

荷動きは鈍化傾向、労働力の高齢化進む

荷動きについては「悪くなった」との回答が29.2%と微増し、「ほとんど変わらない」が67.3%で前回より増加。全体として横ばいからやや鈍化の傾向を示した。ドライバーの平均年齢では「50-55歳未満」が46.4%と最多で、50歳以上が7割近くを占める。依然として高齢化に歯止めがかかっていない。

運転者不足はやや改善、働き方改革対応が進展

ドライバーの充足状況は「ほぼ充足」が25.6%と増え、不足率は68.4%まで低下した。減車傾向もあり、需給バランスはやや改善している。有給休暇の取得では依然として「年間5日未満」が2割強に存在し、働き方改革の浸透には課題が残る。

2024年問題への対応では、「拘束時間・労働時間管理の徹底」(41.5%)、「ITによる運行管理」(20.2%)など、社内での労務管理強化が進む。荷主対策としては「待機時間の削減」(43.6%)や「運賃の値上げ交渉」(29.2%)が挙げられ、現場レベルでの改善努力も続く。

賃上げ基調は維持も、上昇幅は縮小

ドライバーの基本給を「引き上げた」と回答したのは43.0%で、前回より微増した。臨時給与支給などを含めると、全体の6割超が賃上げを実施または予定している。ただし、昇給額は1000円から4万円、率にして1-12%と幅広く、前回調査より上昇幅は縮小した。

東ト協連は「運賃の改善や人手確保の取り組みは進む一方、標準的運賃をめぐる交渉や荷動きの弱さに課題が残る」と分析している。

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