調査・データコリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は22日、アジア太平洋(APAC)地域の物流・産業用不動産市場の動向をまとめた「アジア太平洋地域インダストリアル&ロジスティクス・インサイト 2025年9月」を発表した。供給過剰やテナント需要の変化、立地選好の変遷などを中心に、域内の市場環境が転換期を迎えていることを示した内容となっている。
同レポートによると、アジア太平洋全体の25年上半期の新規供給は770万平方メートル超で前期比6%減となり、デベロッパーの慎重姿勢が強まっている。一方、3PLやEC(電子商取引)企業による高品質施設への選好が進み、市場の二極化が進展。日本市場では、東京圏で130万平方メートル超の新規供給があり、域内最大の供給量を記録した。
ただし、日本では需給バランスが依然として供給超過に傾いており、正常化には時間を要する見通し。特に労働力の確保がテナント企業にとって喫緊の課題となっており、東京都心近郊への立地志向が強まっている。また、労働環境改善や自動化対応を目的とした施設スペックの高度化も進んでいる。
賃料動向については、建設コストの上昇と高水準の空室率が拮抗し、日本では小幅な動きにとどまっている。これは賃料が上昇するインドや豪州、下落する中国本土・香港とは異なる状況といえる。
加えて、日本のEC市場は2023年に24兆8000億円に達し、前年比22.3%の成長を見せたが、EC化率は9.4%と韓国や台湾に比べ低水準にとどまっており、今後の成長余地が大きい。このため、配送効率を重視した都市近郊立地への需要拡大が見込まれる。
中長期的には、経済成長やEC拡大、3PL事業の伸長などにより、物流・産業用不動産市場の基盤は堅調に推移するとみられる。域内全体で進む「質への逃避」や自動化・効率化のトレンドと足並みをそろえながら、日本市場も一層の高度化が期待される。
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