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日本からの海外不動産投資が活発に、コリアーズ

2025年10月8日 (水)

調査・データ総合不動産コンサルティングのコリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京都千代田区)は8日、アジア太平洋地域の不動産投資の動向をまとめた「2025年上半期アジア太平洋地域インベストメント・インサイトレポート」を8月29日に、「グローバル キャピタルフローレポート2025年9月」を9月12日に公表したと発表した。日本については、投資家による海外不動産投資が過去5年の平均を上回る水準で拡大しており、欧米諸国が慎重な投資姿勢を取るなかで、際立った動きだと指摘している。

レポートによると、ことし上半期に日本は、世界のクロスボーダー不動産投資市場で、投資先として世界第10位、投資元として第7位にランクインした。特に、日本の投資家による海外不動産投資は過去5年平均を上回る水準で拡大している。

上半期の日本の不動産投資総額は161億ドルで前年比7%増となった。このうち、国内資本が79%、海外資本が21%を占めており、アジア太平洋地域全体のトレンドと変わらない。

分野別にみると、オフィスへの投資額は88億ドルとなり、投資の回復が顕著で堅調な需要が継続している。住宅(賃貸集合住宅)への投資は21億ドルで、賃貸需要と家賃利回りの改善によって、投資家の関心が持続している。

ホテルへの投資は19億ドルで、訪日観光客の増加を背景に成長が継続。物流施設にも安定した需要があり、18億ドルの投資が行われたが、一部で供給過剰の課題もある。

現在の日本の金融政策は、世界的な潮流となっている金融緩和トレンドとは一線を画している。これは、世界各国に比べてインフレによる物価上昇が遅れたためで、世界各国では物価上昇が沈静化する一方、日本ではことしに入って、インフレ率が3%を超える水準で推移している。このため、すでに利上げを行い、利下げの必要性が議論されている欧米などとは異なり、日本では現在0.5%にとどまっている政策金利の引き上げ観測が高まっている。

長くゼロ金利政策が続いた日本での金利上昇局面は、投資収益率の改善への期待が膨らむ一方で、資金調達コストの上昇という二面性があり、国内外の投資家が日本銀行の判断のほか、政府や国会での政策論議などを注視している。

日本の不動産投資市況の見通しについては、オフィスや住宅などへの需要の底堅さと、訪日観光客の回復によるホテル事業への成長期待、長期的な人口構造の変化を見越した投資戦略の多様化が、市場の安定性を下支えしていると指摘。安定した取引量の推移と投資家層の多様化を背景に、下半期も堅調な投資活動が継続すると予想した。データセンターやライフサイエンス関連などのオルタナティブ資産への関心も高まっており、市場の持続的成長を支える要因として期待されるとしている。

しかし、ゼロ金利政策からの脱却やインフレ対策としての金融政策が、投資判断に与える影響を注視する必要があると注意も促した。一方で、地政学的な不確実性が高まるなか、相対的に安定し透明性も高い日本市場に対し、国際的な投資資金の受け皿としての期待が高まる可能性もあるとした。

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LOGISTICS TODAY編集部
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