調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は2日、国内における水素エネルギー活用機器・システムの市場規模は2050年度には1兆6870億円にまで成長するとしたレポートを公表した。
国内では、日本企業が世界に先駆けて開発した家庭用燃料電池(エネファーム)や乗用車タイプの燃料電池自動車(FCV)を中心に、水素のエネルギー利用が進められている。20年10月に政府が「2050年のカーボンニュートラル」を宣言した以降は、燃焼時にCO2を排出しないエネルギーとして水素に対する注目度がさらに高まっており、用途も拡大している。
燃料電池を搭載した業務用・産業用機器での製品開発の動きが広がるとともに、バーナなどの燃焼機器でも水素燃焼技術の開発が進んでいる。商用車をはじめとするモビリティー分野や鉄鋼業界などにおいても、水素エネルギー活用の取り組みが活発になっている。
水素利用の中でも注目が高いのは、水素発電やアンモニア発電で、火力発電同様に燃焼によって発生した蒸気やガスを用いてタービンを回して発電するが、水素やアンモニアは化石燃料と異なり、CO2を発生させない。このため、大手電力会社は、既設の火力発電設備を用いて、水素やアンモニアを化石燃料と混合する「混焼」や、化石燃料を使わない「専焼」の実証事業を計画、実施している。特にアンモニアは水素と比べて供給体制の整備が進んでおり、既設の石炭火力発電所を改造したアンモニア混焼発電の実証プロジェクトが進展している。
中長期的にみると、国内の水素エネルギー需要は、水素発電やアンモニア発電がけん引していくと予測され、発電分野の需要規模の拡大に伴い、水素やアンモニアの受け入れ・貯蔵設備などの関連インフラ整備も段階的に進むとみられる。発電所を中心に多様な産業需要が集積することで、安定した消費量が確保され、水素エネルギーの調達コスト低減につながることも期待される。
同社は「2030年代以降、調達可能な水素の量が増えるとともに、水素調達コストの低減が徐々に進む可能性があり、水素エネルギー活用機器・システムの市場規模は中長期的に拡大していくと考えられる」と指摘。国内における水素エネルギー活用機器・システムの市場規模は、新規導入される機器・システム金額ベースで30年には3599億円に達するとし、40年には9869億円に拡大、50年には1兆6870億円規模になると予測した。
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