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IATA、航空業界の純利益を過去最高と予想

2025年12月11日 (木)

調査・データ国際航空運送協会(IATA)は9日、世界の航空業界の最新の財務見通しを発表し、航空会社の収益性が2026年に純利益率3.9%で安定すると予想した。サプライチェーンの混乱が依然として続く一方で、業界の収益は堅調さを保っている。IATAによると、航空会社の純利益は25年の395億ドルから増加し、26年には410億ドルに達する見通しで、過去最高を更新する見込みだ。純利益率は3.9%と前年から横ばいと予想した。

総売上高は4.5%増の1兆530億ドルとなり、営業費用の4.2%増(9810億ドル)を上回ることで、業界全体の純利益が26年に15億ドル増加すると見込む。また、GDP成長率が3.1%でほぼ安定し、インフレ率も3.7%へ低下する一方、世界貿易の成長率が0.5%と低迷するなど、航空会社に影響を与えるマクロ環境は複雑だとしている。

貨物量は26年に7160万トン(前年比2.4%増)に達すると予想され、貨物収入は26年に1580億ドルへ増加する見通し。時間的制約のある貨物やEC(電子商取引)需要の増加が支える。貨物イールドは25年比で0.5%減と横ばいながら、パンデミック前より30%高い水準を維持すると予想される。

費用面では、26年の燃料費が2520億ドルとわずかに減少する見込みで、ブレント原油価格の下落が寄与する。ただし、サプライチェーン問題の長期化により航空機更新は滞り、燃費効率の改善は1%にとどまる見通しだ。CORSIA(国際航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム)関連コストは26年に17億ドルへ増加し、持続可能航空燃料(SAF)購入に伴う追加コストは45億ドルに達する。燃料費以外のコストは7290億ドルと5.8%増加し、労働市場の逼迫による賃金上昇や、老朽化した機材、部品供給遅延、リース料上昇などが重しとなる。

地域別では、アフリカは低所得水準や高コスト構造により成長力が抑制されている。アジア太平洋では観光需要の回復や中間層の拡大が追い風となるものの、国際輸送の回復鈍化や過剰供給、デフレ圧力が課題となる。ヨーロッパは成熟市場ながら高い搭乗率と厳格なキャパシティー管理が利益率を支え、格安航空会社の成長が顕著である。ラテンアメリカでは域内接続強化や経済安定化により需要が堅調だが、通貨変動の影響が大きい。中東は長距離需要とハブ戦略が成長を牽引し、最も高い純利益率を維持している。北米は強固な需要と高い収益性に支えられ、引き続き世界最大規模の航空市場として安定した成長が見込まれる。

同協会は、航空業界が安定した業績を確保しつつも、資本コストを十分に回収できない構造やサプライチェーン問題、規制負担など、依然として解決すべき課題は多いとし、持続的な改善が必要だと強調した。

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