財務・人事トランクルーム最大手のエリアリンク(東京都千代田区)は3日、同社会議室内でメディアラウンドテーブルを開き、2025年度の実績と今後の成長戦略を発表した。会場では、鈴木貴佳社長が「ハローストレージ」ブランドで展開するストレージ事業の拡大と、好調な「パートナー制度」の進捗について詳しく説明した。同社は現在、全国2850か所、総室数12万5000室を展開し、国内シェア17-18%でトップを走る。

▲ラウンドテーブルの様子
「379円値上げで年4億円」の数の力
2025年度の売上は260億円、営業利益55億円を達成した。毎年10%前後の営業利益成長を目指す方針を堅持している。
目を引くのは、賃料がじわりと右肩上がりな点だ。平均は1万4600円で前年比2.7%増。ここ数年は年3-4%の値上げが定着している。契約10万件超の数の力について鈴木社長は「1室あたり数百円でも、積み上げれば利益は大きい」と語り、「379円上げれば月3790万円。原価はほぼ増えない。年なら利益が4億円超、きれいに上乗せできる」と数字で示した。
市場環境にも触れ、「インフレの追い風で賃料も上げやすい。不動産高も含め、いまは当社に利が多い」と語った。
粗利率80%、初期投資ゼロの新戦略
今回の発表でひときわ耳目を集めたのが、「パートナー制度」の前進だ。他社のストレージ事業を引き継いで運営し、初期投資を抑えつつ売り上げを伸ばす。鈴木社長は「オーナー様には売り上げの9割を渡して、10%が我々の収入になり、実際の売上の35%くらいは我々の方の収入となっている。売上と立つものに対して80%くらいが粗利になる」と語り、利益の厚みをにじませた。
従来の自社出店との違いについても詳しく語った。「これまでのように毎年1万室を出店すると、出店分だけで初年度は合計でおおむね4-5億円の赤字になる。自社で1万数室を出してしまうと赤字が大きくなるが、パートナー制度ならそうした赤字が出ない。そこが大きなメリットだ」と強調した。
JR・三井との契約で「業界の空気が変わった」
2025年度はパートナー制度で5000室を積み増した。JR東日本都市開発、三井不動産レジデンシャル、日本ハウスホールディングス──名の通った不動産勢との握手が揃い、業界の空気も少し変わったという。鈴木社長は「JRさんと三井さんの契約を通してから、パートナーに対する反響、見られ方が大きく業界で変わった」と語った。
今年に入り、京成不動産、JR九州、同業のパルマとも相次いで契約を結んだ。さらに鈴木社長は、大型提携の“次の一手”にも触れ、「先方の都合で社名はまだ出せないが、JRさんや三井さんと肩を並べるような企業さんとの契約が、いま詰めの段階にある。おそらく4月、5月、6月とリリースできると思う」と予告した。
中期計画では2027年までにパートナー制度で6200室を目標としているが、「8000室くらいはいくんじゃないかなと思っている。1社で1000室、2000室というケースがあるので、一緒に決まると数千室単位で上がる」と上方修正の可能性を示唆した。
2029年に20万室、シェア25%の野望
同社は27年までの中期計画で総室数を16万5000室(現在の1.5倍)に広げ、29年には20万室の大台を狙う。鈴木社長は「29年に20万室までいけば、業界シェアは25%くらい。そこが一つ、押さえたいラインだ」と語った。

▲1都3県、京阪神への出店について、「去年は63%で8%上がった。今年はおそらく75%になり、さらに10%以上伸ばしたい」と語る鈴木貴佳社長
出店は、人の流れが絶えない一都三県と京阪神へ重心を移す。「おととし55%が、去年は63%で8%上がった。今年はおそらく75%になり、さらに10%以上伸ばしたい」と語り、首都圏と関西圏への比率を押し上げる構えだ。
方針転換の理由は明快だ。「稼働率が少し落ちて伸び悩んだのは、地方出店の影響があった。去年後半から60数パーセントをもっと高める方針で、出店エリアを選び直している」と説明した。
業界9割のデータが「全部見える」強み
同社の足腰を支えるのは、四半世紀かけて積み上げたデータと、AIで手数を減らす運用力だ。鈴木社長は「三菱総研さん、MRIさんとの取り組みを年々強め、毎年多くのプロジェクトでデータ解析や基盤づくりを進めている」と語り、「AIで大量のデータを、より高度に、より速く、少人数でも事業に生かせるよう、取り組んでいる」と力を込めた。
子会社ジャパントランクルームのポータルには業界の9割が名を連ね、現場の空気がそのまま数字になる。「地域ごとの反響数や平均賃料まで取れる。ここは伸びる、ここは意外に苦戦していると、全部が見える」と鈴木社長は語った。
効率経営の手応えを問われると、鈴木社長は「従業員一人あたりの営業利益は、22年時点で上場企業26位。そこから1.2倍以上伸びた。いま同じ表が出れば10番台に入るはずだ」と自信を見せた。データ活用とパートナー制度。2つのエンジンを回し、同社は業界の主導権をいっそう手繰り寄せる構えだ。(星裕一朗)
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