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輸送力不足は最大25%を想定、物流大綱検討会が提言

2026年3月3日 (火)

行政・団体政府の「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」は3日、次期「総合物流施策大綱」に盛り込むべき政策の方向性を提言として公表した。物流を「単なるコスト」ではなく「新たな価値を創造するサービス」と捉え直し、成長エンジンかつ公共性の高い機能として、より上質で魅力ある産業への転換を掲げる。2030年度までを物流革新の「集中改革期間」と位置付け、担い手不足が深刻化する局面でも物流機能を維持するため、従来にない対策を抜本的かつ計画的に講じる必要性を強調した。

提言は、次期大綱が目指す政策を5つの観点に整理した。サービス供給制約に対応するための徹底的な物流効率化▽商慣行見直しや荷主・消費者の行動変容、産業構造の転換による全体最適▽物流人材の地位・能力向上と労働環境改善▽標準化と物流DX・GXの推進▽国際情勢や自然災害に備えたサプライチェーンの高度化・強靱化──の5本柱だ。国だけでなく、物流事業者、発着荷主、消費者を含む関係者が「一致団結」して施策を推進する姿勢を打ち出した。

輸送力不足の見立ても更新した。提言によると、当初想定していた2030年度のトラック輸送の需給ギャップ34%のうち、官民の取り組み成果などにより14%はおおむね克服できたと整理した。一方、足元の経済動向や物流需要の変化を踏まえた再検証では、2030年度に平均で7%、最大で25%(1.7億トン-7.2億トン)の輸送力不足が生じ得るとする。次期大綱期間では、ワーストケースでも物流停滞を招かないよう、最大26ポイント程度の輸送力を確保する施策を用意し、輸送量の推移に応じて必要策を講じる方針を示した。

▲各ケースの試算の前提(クリックで拡大)

▲2030年度に想定されるトラック輸送の需給ギャップ(クリックで拡大、出所:国土交通省)

確保策の具体像としては、荷待ち・荷役など時間短縮(年間625時間)や積載効率の向上(44%)に加え、鉄道・船舶・航空機、ダブル連結トラック、自動運転トラックなどを組み合わせた「新モーダルシフト」(677億5000トンキロ)を掲げる。宅配では「多様な受取方法50%」を目標に再配達削減を進め、ドローンによるラストマイル配送の社会実装(174件)も盛り込んだ。自動運転トラックや「自動物流道路」など自動化・省人化の推進、基幹物流拠点や環状道路などインフラ整備、標準仕様パレットの導入促進、フィジカルインターネットを見据えたデータ連携、GX(グリーントランスフォーメーション)としての脱炭素化も、重点施策に位置付けた。

商慣行・取引面では、改正物流法などを通じた荷主・物流事業者・消費者の連携強化、適正運賃収受に向けた価格転嫁の円滑化と取引適正化、トラック適正化2法などによる業界の構造転換を挙げる。人材面では、トラックに限らず倉庫、鉄道、船舶、港湾、航空まで含め、確保・育成と労働環境改善を横断で進めるとした。国際物流では港湾・航空ロジスティクス強化、経済安全保障やサイバーセキュリティーの確保、災害時の物流ネットワーク維持など、強靱化の観点を前面に出した。

政府は提言を踏まえ、次期「総合物流施策大綱」を25年度末までの閣議決定を目指す。提言は、輸送力不足を「平均7%-最大25%」と幅を持って示し、需要の振れに耐える政策パッケージを求めた点が特徴だ。数値目標と制度・行動変容を組み合わせ、実装段階でどこまで現場の負担を減らし、持続可能性と競争力を両立できるかが焦点となる。

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