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TDBC、共同輸送と外国人材の「社会実装」を加速

2026年3月25日 (水)

ロジスティクス運輸デジタルビジネス協議会(TDBC、東京都港区)は24日、2024年問題の解決と持続可能な物流の構築に向けた「2025年度活動中間発表会」を開催。小島薫代表理事は、荷主の行動変容を促す共同輸送の実装や、外国人ドライバーの活用といった多角的なアプローチが、もはや構想段階ではなく社会実装のフェーズに入ったことを強調した。

▲TDBCの小島薫代表理事

小島代表理事は「2024年問題の解決に向けた活動が評価され、第8回日本オープンイノベーション大賞の国土交通大臣賞を受賞した」と報告した。この受賞は、共同輸送データベースによる取り組みが、単なる理想論ではなく、実社会における課題解決の有効な手段として認められた証だ。

同氏は「変化に対応する時代が目の前に来ている。これらを社会に実装するため、現場サイドとしてのサポート体制を改めて強化する」と決意を語り、官民一体となった変革の加速を訴えた。

ワーキンググループ(WG)では、高橋雄太リーダー(AGC)が、「traevo noWa」(トラエボノワ)を活用した共同輸送の進捗を説明した。同分科会は、25年8月の正式なサービスイン後、現在は公認・標準(社会インフラ)に向けた活動を深化させている。単なるマッチングシステムの提供にとどまらず、物流の公共性をさらに向上させ、真のユニバーサルな仕組みへと成長させる狙いだ。

▲AGCの高橋雄太氏

高橋氏は、今後の重要テーマとして法や行政対応の共同化を挙げた。これは個社で対応するのではなく、実装に向けた準備と運用を共同で行うことで、業界全体の効率化を図るものだ。さらに、運用知やルール、成功モデルとなる「型」を参加企業間で共同保有し、現場の対応力を組織的に強化していく方針を示した。

また、異なる荷主間での輸送を成立させるためには、情報のフォーマットや運用のルールを共通化する「標準化」が不可欠だ。高橋氏は「我々会員が、自らの取引先などにこの活動を紹介し、誘致していくことが重要だ」と、現場主導のネットワーク拡大を呼びかけた。

人手不足の抜本的な解消策として注目されるのが、外国人ドライバーの採用だ。大北晋也行政書士は、今後開始予定の「育成就労制度」の展望を詳細に解説した。現行の技能実習制度に代わり、就労を通じた人材育成と確保を目的とする新制度は、特定技能1号への円滑な移行を可能にする画期的な仕組みだ。

▲大北晋也行政書士

大北氏は、新制度の要点として転籍・転職の制限緩和と特定技能への移行を挙げた。育成就労制度では、一定の条件を満たせば同一職種内での転籍が認められる。これは外国人労働者の権利保護だけでなく、適切なキャリア形成を促す狙いがある。

同氏は「特定技能2号になれば、家族滞在も認められ、日本に定住して働く外国人が増える」と予測する。これは、単なる労働力の補填ではなく、日本の地域社会の一員として外国人を迎え入れる大きな転換点となる。

将来的な展望として、大北氏は家族滞在がもたらす長期的なメリットを強調した。子供が日本の学校に通い、日本の文化に馴染んだ次世代が成長することで、将来的な労働市場にも好影響を与える。

同氏は「いきなり入国して文化も分からない外国人より、ある意味で日本化している外国人を活用する視点を持ってほしい」と提言した。一方で、現場での受け入れには課題も残る。大北氏が実施した再集計によると、外国人が日本で就労を継続しない最大の理由は日本語でのコミュニケーションに関する不安だ。

仕事の内容そのものよりも、周囲との意思疎通がうまくいかないことによる孤独感やストレスが、離職の大きな要因となっている。大北氏は「日本語が使えないことは、単なる言語の問題ではなくコミュニケーションの問題だ」と指摘した。

その解決策として、受け入れ側である日本人の歩み寄りを強く求めた。「挨拶や『ありがとう』といった分かりやすい言葉を、現地の言葉で掛け合うなどの努力が不可欠だ。相互にコミュニケーションを取ろうとする姿勢こそが、定着の鍵を握る」と説いた。

物流業界が直面する2024年問題は、荷主と運送事業者が個別に動く段階を過ぎ、デジタルプラットフォームを介した共助の仕組みが不可欠な段階にある。

TDBCの活動は、共同輸送による環境負荷低減と、外国人材の受け入れ体制整備という、ハードとソフトの両面から持続可能な物流の実現を猛烈に推進していく構えだ。

今後は7月10日に開催されるフォーラムに向けて、各WGでの実証実験や社会実装をさらに加速させる。小島代表理事は「現場サイドとしてのサポート体制を改めて強化する」と宣言し、物流構造の変革に対する強い意志を示した。(菊地 靖)

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