調査・データ農林水産省は3月31日、食料システム法に基づく「令和7年度食品等取引実態調査」の結果を公表した。制度の実効性を検証する調査として、食品製造、卸、小売、外食、物流事業者などを対象に取引実態を把握したもので、価格転嫁の遅れや短納期慣行など、サプライチェーン全体に残る構造的課題が改めて浮き彫りとなった。
調査はアンケート3844者、ヒアリング174者を対象に実施。BtoB販売における価格交渉は74.6%で行われているが、速やかに協議に至った割合は77.0%にとどまり、交渉の質にはばらつきが残る。さらに、値上げの根拠を提示した事業者は69.6%で、提示の有無によって価格転嫁率に差が生じた。根拠を提示した場合の転嫁率は68.1%、提示しない場合は56.8%と1割以上の開きが確認されている。価格交渉の形式は浸透しつつあるが、実効性にはなお差が残る。
コスト転嫁の実態を見ると、全体コストの転嫁率は65.0%にとどまり、特に人件費は59.4%、物流費は62.9%と相対的に低い。業種別では農林漁業者や外食・給食事業者で転嫁率が低く、サプライチェーンの上流・下流双方でコスト吸収が困難な構造が見て取れる。
一方、BtoCでは状況はさらに厳しい。消費者向け販売では、価格転嫁率70%以上を達成した事業者は34.9%にとどまり、23.8%は「ほとんど転嫁できていない」と回答した。転嫁できない理由としては「売上や数量減少への懸念」が60.7%と突出し、需要減退への恐れが価格決定を強く制約している。
物流面では、2024年問題を背景にパレット化や車建て運賃への切り替え、トラック予約受付システムの導入など効率化の動きは進展している。ただし、輸送資材の標準化や納品時間の分散といった業界横断の取り組みは不十分で、個社努力に依存する状況が続く。運賃の個別交渉からサプライチェーン全体での最適化へと議論を進める必要がある。
また、取引慣行に起因する負担も依然として大きい。短納期発注や厳格な納品期限、いわゆる「3分の1ルール」などが製造・物流双方にコスト増をもたらしている。加えて、センターフィーや返品、協賛金といった慣行についても、交渉が成立しないまま受け入れられている実態が指摘された。制度整備だけでは解消せず、取引構造そのものの見直しが問われている。
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