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プロロジス、床貸しを超え自動化を提供

2026年4月20日 (月)

拠点・施設1999年の事業開始以来、国内で物流施設122棟(総延床面積825万平方メートル)を新規開発してきたプロロジス(東京都千代田区)は、現在91棟(636万平方メートル)を運営・開発中だ。STOCKCREW(ストッククルー、中央区)と特定荷主企業と組み、経済産業省「持続可能な物流効率化実証事業」に採択された自動化プロジェクトに参画。EC(電子商取引)拡大で膨らむ小口需要とBtoC物流の強化を見据え、ECフルフィルメントに強いSTOCKCREWと次世代モデルの構築を狙う。実証拠点の「プロロジスパーク八千代2」(千葉県八千代市)では17日、メディア向け見学会が開かれた。

担当者の説明に耳を傾ける参加メディア

プロロジスとSTOCKCREWが仕立てた4階フロアは、110台のAMR(自律走行搬送ロボット)が黙々と往復する。ソーター、自動梱包機、シュリンク包装ラインなど6種の自動化設備が、入荷から出荷まで一つの流れとして噛み合い、1日1万件超をさばく。「ピッキングは、人が棚へ向かう時代から、棚が人のもとへ届く時代になった」とSTOCKCREW担当者は語る。作業者は持ち場を離れず、画面の指示どおりにスキャンして検品するだけ。誤ピックはその場でアラートが鳴り、初日のスポットワーカーでも即戦力になれるUIが頼もしい。検品・仕分け・格納を一括で担うリニソートは人員を50%削り、荷待ちは実証前の120分から5分以下へ92%減となった。

現場視察のあと、STOCKCREWの中村慶彦社長は、取り組みの狙いをこう語る。「2200社のEC事業者が1社あたり月15万円程度でこの設備を共有できる。7-8年の利用期間で割れば、年間1-2万円で先進物流を使える時代になった」と語る。狙いは設備の導入に尽きない。同社が力を注ぐのが「LEGOフレームワーク」と呼ぶ独自のAI(人工知能)活用サイクルだ。社員に限らず、現場で働くスタッフ全員がスマートフォンで日々の気づきを投稿する。「ロケーションが乱れている」「この作業手順はミスが起きやすい」といった声が折り重なり、半年で2000件超のチケットとして蓄積した。

▲「ロボットや機械を入れれば勝手に良くなる、と思ったら本質を見誤る」と語る中村社長

集まった膨大な声とデータをAIが読み解き、倉庫の「いま」を映し出す。どこが詰まり、何から直すべきか。優先順位まで自動で示し、過去の改善の効き目も追い続ける。「効果が薄いなら、一度立ち止まろう」。そんな提案も返ってくるという。投稿数の増減は、現場の調子を測る体温計のようなもの。中村氏は「ロボットや機械を入れれば勝手に良くなる、と思ったら本質を見誤る」と語る。「正確なデータと、現場の声。その両方がそろって初めてAIは働く」とも語る。

自動化とAI、そして人の気づきを三つ巴で回し続ける。そこに、改善が持続する理由がある。中村氏の胸底にあるのは「高度な物流を、知っている企業だけの特権にしたくない」という思いだ。2200社が先進インフラを共同利用し、コストを分け合って中小のEC事業者にも開く。STOCKCREWが描くのは、いわば物流の民主化だ。

見学の締めくくり、プロロジスが披露した施設内のデバンニングロボット「RockyOne」(ロッキーワン)だった。コンテナの段ボールを吸着アームでつまみ上げ、コンベヤーへ淡々と送り出す。起動はタブレットひとつ。AIカメラが箱のサイズと重さを見抜き、手首のように器用に腕を動かす。重労働で、自動化の“最後の難所”とされてきた荷下ろしに、同社は施設オーナーとして踏み込んだ。

施設内のデバンニングロボット「RockyOne」

床を貸し、設備はテナント任せ。そんな物流不動産の常識を覆した。特別高圧受電、ノンブレース構造、無人フォークリフトとエレベーターの自動連携インターフェース。いわば「ロボフレンドリー」な土台を整えたうえで、ソリューションそのものを実装し、入居企業に提供する。

中小のEC事業者にとって、自動化への単独投資は高嶺の花だ。それでもこの施設なら、初期投資なしで手が届く。建物とテナントが同じ方向を向いて物流を底上げする。新しい物流不動産の未来を見据えた可能性が、ここにはあった。(星裕一朗)

プロロジス、ロボ前提倉庫で次世代ECモデル検証

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