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ネクスト、外国人採用でもあくまで「人物重視」

2026年4月28日 (火)

ロジスティクス物流業界全体の深刻なドライバー不足、いわゆる「2024年問題」。この大きな波は、食糧や産業の要である北海道の物流網をも揺るがしている。こうしたなか、北海道から全国各地へトレーラー輸送を展開するネクスト(札幌市清田区)は、特定技能制度を活用した外国人ドライバーの採用をいち早く決断した。単なる「労働力の補完」ではなく、企業のあり方を進化させる「中核人材」としての受け入れに舵を切った石田英俊社長に、その真意を聞いた。

トップ自らが動き、即断即決した展示会での接点

「日本人採用だけでは、すでに限界が来ていると感じていた」と語る石田社長。同社でもドライバーは60歳を超えるベテラン層が2割を占め、若手人材の確保は急務だった。

この課題に対し、トップ自らが直接動き、素早い決断を下した。きっかけとなったのは2025年4月に開催された「関西物流展」だ。キャムグローバルが実施していたプレゼンテーションを石田社長自らが聴講し、その場ですぐさま担当者に直談判。本格的な相談をスタートさせた。

▲ネクスト社長の石田英俊氏

「相談した当初は右も左も分からない状態だったが、業界全体の課題を先送りせず、いち早く正面から向き合って解決策を打つべきだと判断した」と石田社長は振り返る。言葉の壁や短期的な採算への不安といった懸念よりも、中長期的な事業の存続を最優先事項と位置づけ、トップダウンで即座に「ゴーサイン」を出した。このトップ自らの並外れた行動力と決断の速さが、プロジェクトを急ピッチでけん引する原動力となった。

「日本の免許取得」を前提とした育成への覚悟

現在、同社では韓国、ベトナム、タイの3か国からドライバーを受け入れている。特筆すべきは、「資格」にとらわれない柔軟な採用基準と、その育成方針である。

「採用の際、大型免許やけん引免許を持っていれば望ましいですが、それに限定はしていません。免許を全く持っていなくても、ある程度の日本語でコミュニケーションができ、取引先から『可愛がられる』ような人柄であれば、採用を出しています」と石田社長は明かす。

昨今の「外免切替」の厳格化や各国の免許制度の変更などを受け、同社では外国免許の切り替えに固執せず、日本の自動車学校の合宿免許などを利用して一から大型免許を取得してもらう方針を基本としている。会社負担で免許取得を支援し、実務に就くまでに半年から1年を要する計算だが、石田社長は「中長期的に物事をとらえ、いち早く解決策を打つのが最良」と、この育成リードタイムを許容した。資格よりも「やる気」と「人柄」を重視し、自社で一からプロフェッショナルへと育て上げる覚悟だ。

ネクストへ入社した候補者とネクストのトラクタ(ロゴは親会社、三協のもの)(出所:キャムグローバル)

現場での教育体制も徹底している。外国人ドライバーを現場に丸投げするのではなく、運転指導、車両保守担当、そして支店長という最小ユニットの専任体制を構築した。「教える側のキャパシティも重要」との考えから、無闇に受け入れ人数を増やすのではなく、1拠点あたり3-4人程度を上限に設定。日本人以上に丁寧な教育プログラムを運用することで、着実な育成と定着を図っている。

多様性がもたらした「教え合う文化」と組織のレジリエンス

外国人ドライバーの受け入れは、現場の雰囲気にもポジティブな変化をもたらした。「言葉が十分に通用しない相手に、一つひとつの必須事項を丁寧に教える。その過程で『協力し合う』『相手を理解する』という文化が現場に芽生えつつある」と石田社長は手応えを語る。彼らを単なる労働力としてではなく、将来的には本国拠点のリーダーや指導役を担う中核人材として期待しているという。

▲「変化する時代に対応するためにも、規模の大小を問わず、物流企業も変化していかなければならない」(石田社長)

この「教える文化」の醸成は、日本人未経験者の採用にも好影響を与えている。既に日本人未経験者2人の免許取得支援を開始しており、外国人・日本人を問わず「意欲のある人材を一からプロへと育てる」という新たな採用パスが、同社の組織としてのレジリエンス(回復力・強靭性)を高めている。

採用を起点に、次世代型企業へアップデート

外国人採用という新たな風は、アナログな現場を次世代型へとアップデートする契機にもなっている。同社では、ドライバーへのタブレット端末配布を開始し、地図や指示書の可視化による安全性の向上と紙運用の削減を推進している。

さらに石田社長は、配車や積載といった「プロドライバーの職人芸」をゲーム化して発信するなど、物流の面白さを若年層に伝える構想も持っている。「物流業界は少し遅れている部分もあるが、新しい価値観を持つ人材を迎え入れ、DX(デジタルトランスフォーメーション)などを通じて業界の魅力を再定義していきたい。それが、次代にそぐう企業としてのリフレッシュにつながると信じている」と展望を語る。

完璧を求めず、7-8割の見込みが立ったら、走りながら直す

「完璧な準備が整うまで待っていたら、チャンスを逃してしまう。7-8割の見込みが立ったら、まずは手を打ってみる。行き過ぎたり足りなかったりすれば、その都度軌道修正すればいい」。

失敗を恐れずに先手を打つネクストの姿勢は、2024年問題に立ち向かう物流業界にとって、一つの大きな指針となるはずだ。

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