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日本郵便元主任を逮捕、取集入札で収賄容疑

2026年5月20日 (水)

事件・事故日本郵便東京支社において、郵便物の取集委託契約の入札を巡る収賄事件が発生し、元社員が警視庁に逮捕された。同社は20日に記者会見を開き、関係者へ深く謝罪するとともに、事件の経緯や今後の再発防止策について説明を行った。

警視庁に収賄容疑で逮捕されたのは、日本郵便東京支社の元主任である米田神之容疑者(37歳・男性)。米田容疑者は、2024年10月と25年5月に同支社が実施した郵便物取集委託契約の入札において不正な便宜を図り、外部業者であるハルキエクスプレス(東京都板橋区)側から宿泊代金など120万円相当の見返りを受け取った疑いが持たれている。なお、同容疑者は26年4月3日付で既に懲戒解雇処分となっている。

事件発覚の端緒は、25年5月12日に入札参加業者から「入札の手順が不適切ではないか」との問い合わせが同社に寄せられたこと。問い合わせのあった具体案件自体は本件と直接関係はなかったものの、社内調査を進める過程で米田容疑者の不正の疑義が浮上した。同社は同年9月30日に警視庁へ相談を開始し、以降は警察の助言に基づき、特定業者の追跡調査などを差し控えながら、全面的に捜査へ協力してきた。その後、同社は26年4月3日に米田容疑者、同様の不正行為が確認された前任者の社員1人を懲戒解雇処分とし、同年5月20日に警視庁が米田容疑者を逮捕した。社内ヒアリングに対し、同容疑者は違法性の認識を含めて行為を認めている。

会見と社内資料によると、当時の入札運用体制には複数の問題点やリスクが存在していた。米田容疑者は「主任」クラスであり、組織としての強い決裁権限は持っていなかったが、東京支社における取集業務の入札実務を先頭で担当していたため、各社の応札額や情報にアクセスできる立場にあった。入札の決裁ルート上には米田容疑者を除く3人の上位者が関与し、相互チェックを行う体制が存在していたが、実際にはこのチェック機能が全く働いていなかった。

さらに、本来の運用では入札価格が社内の算定公式による予定価格を下回らない場合、最安値の業者と価格を引き下げるための「価格協議」を行うことになっていた。しかし今回の案件では、最終的な契約価格が予定価格の倍程度にまで大幅に上昇していたにもかかわらず、決裁段階で不審視する者が誰もいなかった。当時、当該入札は電子入札ではなく、各社が直接入札額を投函する紙ベースで実施されており、手続きの可視化やトレーサビリティーに限界があった。また、社内にリアルタイムで入札を監視する中立的な機関はなく、事後的な結果確認に留まっていたことも不正を見逃す要因となった。

日本郵便東京支社は、社会的・公共的役割を担い、信用を第一とする企業として今回の事態を真摯に受け止め、是正措置と再発防止策を急いでいる。まず取集委託の担当部署以外のメンバーが入札事務を管理・実施する職務分離体制へ移行した。さらに手続きの透明化と公正性を担保するため、電子入札の導入範囲を拡大し、監査ログなどの管理を強化している。

また警察の捜査終了後には、契約内容の適正性を改めて精査し、エスカレーション基準やチェックリストの見直し、担当者への再教育を徹底する方針である。東京地区は市場規模が大きく業者確保が困難という特殊性があるものの、同種の入札スキームは全国の支社で運用されている。そのため本社調査部門が他支社への横断調査方針を決定し、一部の支社では既に個別調査に着手している。

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