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着地の48%で5社以上が納品

危険物物流、全国動態を初可視化

2026年6月29日 (月)

荷主経済産業省・国土交通省が主導するフィジカルインターネット実現会議の化学品ワーキンググループは29日、危険物有姿品(バルク以外の個包装品)の全国の物流動態を化学品業界で初めて可視化したと公表した。荷主15社が物流実績を持ち寄って分析した結果、対象データ上の着地市区町村の48.0%で5社以上が個別に納品していた。共同保管や共同集配を検討する対象地域を絞り込む材料が得られた。

危険物は混載制限などの制約があり、輸送に専門知識を要する。化学品の危険物には、引火性や有害性、爆発性などのリスクがあり、ドライバーには物性や反応性の知識、混載できない組み合わせなどの法規制の理解、トラブル時の対処といった専門性が求められる。一方、これまで各社の物流実績は個別に管理され、業界全体の流動を同じ粒度で把握する仕組みがなかった。今回、荷主15社が危険物有姿品の物流実績を各社1年分持ち寄り、同一のデータ定義、粒度でまとめることで、初めて全国規模の動態が見えた。分析は流通経済大学の矢野裕児教授、福島大学の石川友保教授に委託した。

データの持ち寄りでは独占禁止法に配慮し、共同物流の検討に必要な発地、荷姿、月間数量などに絞り、着地は市区町村単位に加工した。顧客名、一般商品名や品目名、1件別の実績数量、出荷日や納期、料金単価は共有しない。説明会では、共有可能なデータ項目の線引きに時間をかけたことも明かされた。

可視化で3点が分かった。第1に、幹線輸送でみると西日本から中京、東日本への輸送量が多い一方、復路の貨物が少なく輸送バランスに偏りがある。第2に、対象データ上の着地市区町村1264のうち、5社以上が個別に納品しているのが48.0%にのぼり、大阪市、横浜市、尼崎市など34市町村では15社すべてが納品していた。第3に、重量でみると貸切便が多いが、件数でみると路線便(特積み)を使った2トン未満の中小口輸送が全体の3分の2を占めた。路線便への依存が大きいことは、中小口の危険物輸送ネットワークの維持が共同化の主要課題であることを示す。

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化学品WGは、この結果をもとにロジネットワークの検討に入る。物流事業者の協力が欠かせないため、WG内で募った有志の物流事業者13社が参画し、荷主15社と合わせた計28社で活動を始めた。優先して検討するのは東北、九州、関西の3エリア。東北と九州は輸送密度が低く、エリア面積に対して路線便の到着台数が少ないため、持続可能性の確保が課題となる。関西は主要需要地で、同一エリア内の輸送が多く、共同化の候補地域として検証する。少なくとも1エリアで早期に実装するスモールスタートを目指す。

検討では、標準パレットの活用、納品リードタイムの見直し、化学品物流情報標準ガイドラインの適用も併せて進める。共同保管、共同集配を起点にエリア内の物量を集約し、将来は幹線定期便でエリア間をつなぐ。

危険物の共同化は、物量を束ねるだけでは成立しない。品目、荷姿、法令上の分類、温度条件、車両条件を照合し、混載できる範囲を一つずつ確認する必要がある。

◆ この記事をより深く理解するために ◆

「化学品物流に業界初のデータ連携基盤」──同じWGが同日に公表した標準ガイドライン。可視化したデータを共同物流につなぐ。

「化学品を同一鉄道コンテナ往復輸送、CO2半減」──可視化に先行して進めてきたモーダルシフトの実証。

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