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1対1から多社接続へ、26年10月実証

化学品物流に業界初のデータ連携基盤

2026年6月29日 (月)

荷主フィジカルインターネット実現会議の化学品ワーキンググループは29日、化学品物流情報標準ガイドラインを策定したと公表した。荷主と物流事業者がこれまで1対1で個別に結んでいたデータのやり取りを、業界共通の規格を介してN対Nに広げる。WGは、同基盤を化学品業界初のデータ連携基盤と位置づける。

共同物流の障害は車両や拠点だけではない。出荷要求、輸送条件、実績データの定義がそろわなければ、多社間で荷物を束ねることはできない。荷主と物流事業者が個別にシステムをつなぐと、参加する会社が増えるほど接続の組み合わせが膨らむ。共通の規格を間に挟めば、各社は自社の形式を標準形式に変換することで多数の相手とつながりやすくなり、個別接続を一つずつ組む必要がなくなる。WGはこの考え方を1対1からN対Nへの転換と表現する。

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策定プロジェクトには化学メーカー21社が参加した。物流DX推進分科会には物流事業者や協力会社のデロイト・トーマツも加わり、実務上のデータ項目や運用ルールを詰めた。ガイドラインは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期で21年10月に策定された物流情報標準ガイドラインに準拠する。ただ、標準をそのまま使うだけでは化学品の現場に合わなかった。危険物輸送の制約、集荷、幹線、配送の中継輸送モデル、化学品特有の荷姿や容器、ラベル類、温度管理を加味した輸送車種、車格、便種などを業界特有の事情として組み込んだ。

ガイドラインは8つのレポートで構成する。本体にあたる目的・適用範囲のほか、標準プロセス定義書、標準メッセージレイアウト、コード区分定義書、データ項目一覧、利用の手引きを備え、共同物流の運用ルールや用語集も関連資料として整えた。

実証は、広島を起点、関西地域を着地とする輸送レーンで行う。想定する仕組みは、荷主と物流事業者の間にデータ変換システムを置くものだ。各社の出荷要求や輸送実績を標準フォーマットに変換し、多社間で連携できるようにする。将来的には、標準化された輸送依頼、実績データを使い、AIマッチングで輸送条件や混載可否、車両特性を踏まえた組み合わせを抽出する構想だ。

26年10月から27年1月に、個社ごとのデータ変換、複数社によるデータ連携、実走試験、効果測定を段階的に行い、28年度の社会実装を目指す。説明資料によると、実走試験にはダイセル、三井化学、三菱ケミカルが参加し、積載率の向上、輸送距離の削減、トラック台数の削減、CO2削減を測定する。データ連携には富士通の「Supply Chain Data Services」を使う。

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WGは、ガイドラインの適用範囲を鉄道や海上輸送、パレット管理にも広げる方針だ。業界横断の物流情報標準との互換性確保に向け、フィジカルインターネットセンター(JPIC)との連携も検討する。輸送力不足への対応として、共同物流の拡大が課題となっている。ただ、多社で荷物を束ねるには、荷主、物流事業者間のデータ定義をそろえる必要がある。ガイドラインはその前提を整えるものだ。

◆ この記事をより深く理解するために ◆

「危険物物流を全国で初可視化」──同じWGが同日に公表した可視化の成果。共同物流を進めるうえで、物流構造の把握とデータ連携の標準化が両輪となる。

「化学品の共同物流やDX推進、官民会議にWG」──化学品WG発足を報じた既報。

「30年度のトラック輸送能力34.1%不足、NX総研推計」──標準化を急ぐ背景にある輸送力不足の試算。

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