M&Aエリアリンクは8日、東証グロース上場のストレージ王に対し、完全子会社化を目的とするTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。ストレージ王も同日、取締役会でTOBへの賛同と株主・新株予約権者への応募推奨を決議した。買付期間は7月9日から8月21日までの30営業日。普通株式の買付価格は1株1340円で、7月7日の終値942円に対し42.25%のプレミアムを付けた。買付予定数の下限は129万1700株で、上限は設けない。TOB成立後、全株式を取得できなかった場合はスクイーズアウト手続きを実施し、ストレージ王は上場廃止となる予定だ。
エリアリンクは「ハローストレージ」などを展開するストレージ事業者で、2026年3月末時点で全国47都道府県に2966拠点、12万9143室を展開している。29年までにストレージ事業の運営管理室数を20万室に拡大する中長期目標を掲げ、新規出店、パートナー制度、M&Aを成長施策に位置づけている。ストレージ王は1都3県を中心に1万3000室を運営管理しており、エリアリンクは同社を取り込むことで、20万室体制に向けた運営管理室数の拡大や、データ・集客力・運営ノウハウの活用を進める狙いがある。
TOBに至った背景には、ストレージ業界の事業特性とストレージ王側の経営課題がある。トランクルーム事業は1拠点あたりの設備投資が大きく、損益分岐点に達するまで時間を要する。建築費の高騰、資材のひっ迫、輸送費上昇リスクもあり、参入障壁が低い一方で価格転嫁は容易ではない。ストレージ王は26年1月に公表した中期経営計画で、従来の開発分譲によるフロー収益に加え、コンテナ型物件の自社保有を進め、利用料収入を柱とするストック収益を第2の収益基盤に育てる方針を示していた。
一方で、東証グロース市場では30年3月1日から上場維持基準の時価総額が100億円以上に引き上げられる。ストレージ王は22年4月の上場後、時価総額がおおむね25億円を下回る水準で推移しており、成長投資や資本政策を含めた企業価値向上策が課題になっていた。エリアリンクは24年11月下旬以降、ストレージ王の完全子会社化を含む取引の検討を進め、26年1月上旬にストレージ王創業者で元親会社デベロップの代表を務める岡村健史氏を通じて、資本関係構築を含む協議を打診した。
エリアリンクが見込むシナジーは、データ活用、集客力、運営ノウハウ、重複部門の効率化だ。同社は累計契約者30万人以上の顧客データや出店情報、競合情報を蓄積しており、出店エリア、部屋タイプ、料金設定に活用してきた。ストレージ王を完全子会社化することで、出店候補地の選定、仕入れ、建築、料金設定、稼働率改善、賃料回収、延滞対応などでノウハウを共有する。電話やウェブを含む利用受付、清掃、メンテナンス、カスタマーサービス、管理部門などの重複業務も統一・効率化し、運営コストの削減を進める考えだ。
ストレージ王も、完全子会社化によって仕入れルートの多様化、スケールメリットによるコスト削減、稼働率・成約率の向上、上場維持コストの負担軽減が見込めると判断した。上場を維持したままの資本提携にとどまれば、一般株主への配慮や両社間の競合関係が残り、経営資源の共有に限界があるとした。完全親子会社化により利害を一致させることが、シナジーを最大化する手法とみている。
TOB成立後の経営方針について、エリアリンクはストレージ王の事業戦略や企業文化を尊重しつつ、グループとしてシナジーを最大限発揮できる体制を協議するとしている。役員派遣の有無や取締役会構成は現時点で未定。従業員の雇用・処遇、主要取引先との取引関係・条件は原則として維持する方針だ。
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