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全ト協女性部会が協議会、新プロジェクト始動

2026年7月15日 (水)

ロジスティクス全日本トラック協会(全ト協)女性部会は、令和8年度全国代表者協議会を開催した。全国から女性組織の代表者ら40名が出席。新たに発足した長野県トラック協会女性協議会の紹介や、女性の採用・定着を強力に後押しする「女性ドライバー未来プロジェクト」の始動が発表されたほか、取引環境の適正化に向けた勉強会や交流会を通じて、業界の持続的な発展に向け結束を強めた。

長野県で女性協議会が新設、設置は34県へ拡大

冒頭、全日本トラック協会女性部会の原玲子部会長は「本日6月8日付で長野県トラック協会に新たに女性協議会が発足した。女性組織を設置する都道府県トラック協会は34県となり、全国各地で女性組織の輪が広がっている」と報告。今後もそれぞれの地域での組織や課題を共有し、互いに学び合いながら全国の女性部会の活動をさらに盛り上げていく決意を述べた。

新設された長野県トラック協会女性協議会の二茅秀子会長も登壇し、「会員16名でのスタートとなった。皆様から様々なご指導を賜り、勉強もしながら今後とも業界を盛り上げていきたい」と意気込みを語った。

全ト協の楠木寿嗣副会長も駆けつけ、未設置県である高知、徳島、和歌山などの各トラック協会会長へ女性部会設立の働きかけを行っている進捗を報告。「女性部会が原部会長を筆頭に、これからも業界の発展に向けて活躍していくことを期待する」とエールを送った。

「女性ドライバー未来プロジェクト」の全容

同部会は今年度、新たに「女性ドライバー未来プロジェクト」を立ち上げた。本プロジェクトは、昨年度に実施した「女性雇用促進に関する実態調査(有効回答数650件中52件)」の結果をもとに構成され、主に2つの柱からなる。

実態調査では、男性ドライバーの増減率が2.3%にとどまる一方、女性は21.2%を記録し、人材確保における「女性採用の重要性」がデータ上でも明確となった。一方で、両立支援制度や助成金の認知度が低く、手続きの煩雑さから利用を断念している実態や、病児保育などの柔軟な保育サービスの不足、荷主施設でのトイレ使用制限といった労働環境の課題も浮き彫りとなった。これらを踏まえ、プロジェクトでは次の取り組みを推進する。

1. 支援制度の活用促進と環境改善の可視化
女性雇用や育児との両立に活用できる助成金・補助金情報の周知と手続きの簡素化を進める。同時に、各地域の子育て支援や保育実態を可視化して不足部分の解消を働きかけ、急な休暇への相互理解を促進する。さらに、日帰り配送(市内・短距離)の提供や、荷役作業がない仕事の創出、荷主施設でのトイレ使用・休憩場所確保といったインフラ環境の改善を通じて、女性が安心して長く働き続けられる職場づくりを全国で展開する。

2. SNS(Instagram)を活用した外部向けの情報発信
従来の業界内(内向き)にとどまっていた広報から脱却し、外部へ直接アピールする取り組みを開始する。協議会当日には全ト協女性部会の公式Instagramアカウント(@jta.jyoseibukai)を開設し、原部会長が最初の投稿ボタンを押すセレモニーが行われた。今後は女性ドライバーや女性経営者・管理者のインタビュー、仕事と家庭の両立事例などを画像や動画で積極的に発信し、業界のイメージ向上と若年層への採用PRへとつなげていく。

取引適正化に向けた法改正のポイントを共有


協議会の後半では、全ト協役員待遇企画部長の金子貴史氏による「トラック運送業に係る法改正等について」の研修会が行われた。金子氏は、令和10年春に施行を控える「適正原価」を基準とした運賃改定に向けた動きや、多重下請け構造の是正を狙う実運送体制管理法、さらには着荷主に対する法的規制を強化する「物流特殊指定」の改正ポイントなどを解説。法令遵守と確実な価格転嫁に向け、事業者側も契約内容の書面化を徹底し、泣き寝入りせず行政へ情報提供を行う重要性を呼びかけた。

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第二部:交流会、一人ひとりの地道な積み重ねが紡ぐ歩み

協議会と研修会の終了後、会場を移動して交流会が開催された。女性経営者たちへ本誌独占の直接取材から、現場の課題解決や日々の業務に実直に向き合う思いを紹介する。

◆長野・二茅会長「焦らず、まずは誰もが安心して働ける土台作りを」

長野県トラック協会女性協議会の二茅会長は、待望の設立について「これまでも立ち上げを願い動いてきたが、このたび協会の温かい理解と後押しを得て、非常に良いタイミングで一歩を踏み出すことができた」と、穏やかな表情で語る。

自社ではドライバー40人のうち女性は1人。だからこそ今後の環境づくりには、地に足のついた視線を持つ。「女性や外国人材も含め、誰もが安心して働けるように、まずは受け入れ環境のインフラをきちんと整えることが大切。長野の16名の会員の皆さんと一緒に一つずつ勉強を重ね、長く活躍できる地盤を丁寧に作っていきたい」と、一歩一歩進める決意を示した。

◆新潟・五月女会長「暮らしに寄り添う工夫を重ねて、自然と人が集まる職場へ」
長野県が加わったことで、新たに「北陸信越ブロック女性協議会」が成立した。その長野県での協議会設立を後押しした、新潟県トラック協会女性協議会会長の五月女奈緒美氏は、航空業界の客室乗務員から運送業経営者へと転身した経歴の持ち主だ。他業界から来たからこその柔軟な発想と、やわらかな感性による新たな視点で職場環境を改善し、自社で女性ドライバー比率35%を達成している。


「特別なことをしたのではなく、午後のみ配送する時短シフトなど、生活のパターンに無理なく馴染む働き方を提案した。午前中に家事を終えてから働き、夕方にはお迎えに行ける時間設定にしたことで、未経験の若い女性たちと良いご縁が生まれた。労働環境を整え、それに応じたお給料や賞与をきちんと支給する。その積み重ねが定着に繋がっている」

こうした女性雇用への積極的な取り組みや労働環境の継続的な向上が極めて高く評価され、同社は「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」において、最上位である「三つ星」を獲得している。この三つ星を取得しているのは、新潟県と石川県を合わせても同社を含めわずか数社という極めて稀な実績だ。

「長野の皆さんとも交流を深め、誰もが無理なく楽しく働ける姿を広げていけたら嬉しい」と語る五月女会長の取り組みは、これからの時代の職場づくりの強力な指標となっている。

◆原部会長「当たり前を一つずつ見直し、誰もが健やかに働ける業界へ」

最後に、全ト協女性部会を立ち上げから率いる原玲子部会長に、今後の展望を聞いた。

全国のトラック協会に地道に足を運び、対話を通じて女性部会を34県にまで広げてきた原部会長。「十分な仲間が集まった。だからこそ、今年は新たな挑戦として『女性ドライバー未来プロジェクト』を始動させた。ただ親睦を深めるだけでなく、実質的に業界の役に立ち、働く環境を良くしていく存在でありたい」

その強い意志が形となったのが、ドライバーの死活問題とも言える「納入先でのトイレ使用環境の改善」を求める活動だ。東京都トラック協会女性部が実施したアンケートでは、多くのドライバーから「納入先や着荷主の施設でトイレを貸してもらえない」という過酷な実態が寄せられた。待機時間や付帯作業が長引くなか、生理現象さえ我慢を強いられる現状は、労働環境の悪化だけでなく、重大な人権侵害や健康被害にも繋がりかねない。

この声を一過性の不満で終わらせないため、原部会長は関東運輸局を訪れ、実態を踏まえた具体的な課題解決への協力を仰いだ。まずは現場の切実な声をまとめた啓発チラシを作成し、行政機関と連携しながら荷主企業への丁寧な周知・改善の協力を呼びかける活動をスタート。この地道な対話とアプローチが共感を呼び、今や全国各地へとその連携の輪が広がり始めている。

「女性ならではの視点を取り入れることで、これまで現場で『当たり前』と見過ごされてきた多くの盲点に気づくことができる。必要だと信じることを地道に一つずつやっていけば、ちゃんと受け取って形にしてくれる人が現れ、波及していく。声を上げ、活動し、動くことで、現場のドライバーたちの環境を変えていきたい」

■全日本トラック協会女性部会 公式Instagram
全国の女性ドライバーや女性経営者の活躍、業界の魅力を発信する。
アカウントはこちら:@jta.jyoseibukai

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業界の当たり前を覆し、目の前の課題に一つひとつ向き合い続ける全ト協女性部会。彼女たちの日々の取り組みは、業界全体の働く環境をより優しく、持続可能なものへと変えていく静かな、しかし確かな力となっているのを感じた。

各ブロックの女性協議会は、2県以上の組織が揃うことで構成される。新潟に今回長野が加わったことで、新たに北陸信越ブロック女性協議会が成立した。全国に9つあるブロックのうち、残るは中国ブロックのみ。中国5県にも、いつか自然な形で温かい理解の輪が広がり、日本地図のすべてが希望の光で結ばれる日が来ることを願ってやまない。(東京編集部 林花代子)

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