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[第4回 ]待ち時間15分から5分へ、顧客数を6倍に急増させた「一気通貫」モデルの破壊力

EXOTECの自前主義、仏スーパーを最強の集客装置へ

2026年3月27日 (金)

話題フランスの小売大手E.Leclerc Seclin(ルクレール・スクラン)は、EXOTEC(エグゾテック、フランス)の自動倉庫システム「Skypod」(スカイポッド)の導入により、ドライブスルー型スーパーの処理能力を劇的に向上させた。

ルクレール・スクランはネットで注文するネットスーパーだが、配達は行っておらず、ユーザーが自ら受け取りに行くドライブスルー型の店舗だ。オンラインで注文した商品を店舗で受け取るこの形態は、導入前は15分の待ち時間が課題となっていたが、EXOTECのソリューションによりこれをわずか5分に短縮。圧倒的な利便性の向上は、週あたりの新規顧客数を5人から30人へと6倍に急増させ、店舗を強力な「集客装置」へと変貌させた。

▲オンラインで注文した商品を車に載せる買物客

ユーザーは事前に必要な商品をオンラインで注文。その後、自家用車で専用レーンに乗り付けると、注文品が自動で手元まで運ばれてくる。消費者は車から降りて荷物を受け取り、自分の車のトランクへ荷物を積み込む。

EXOTECのソリューションを導入する前は、店舗スタッフは広大な倉庫内を歩き回って商品をピッキングしており、1日あたり15キロから20キロもの距離を歩いていたという。店舗責任者のマクセンス・モーリス氏は「既存のオペレーションではこれ以上の成長は物理的に不可能だった」と当時を振り返る。また、ユーザーは店舗に着いてから15分以上待たされることになり、これもまた大きな機会損失となっていた。同店舗が抱えていたスタッフの疲弊と機会損失という二重苦を解決するために選ばれたのが、EXOTECのスカイポッドだった。

▲「自前主義」により処理能力が圧倒的に向上

EXOTECの強さは、ロボット単体の性能以上に、ハード、ソフト、周辺設備のすべてを自社で一貫して設計・製造する「自前主義」と、システム全体を自らまとめ上げる「垂直統合」にある。

同店舗では、2500平方メートルという限られたスペースを最大限に活用。バッファエリアに23台のスカイポッドロボットと1872か所のビン保管場所を配置した。自社開発のコンベア「Skypath」(スカイパス)は汎用品と異なり、柔軟なレイアウト変更を可能にする。

▲コントロールルームで、自動倉庫システムを一元管理

具体的なオペレーションは、効率を極めた次の3段階で構成される。まず、オペレーターが同じカテゴリの商品を複数顧客分まとめて収集する「ウェーブピッキング」を行い、作業時間を最適化する。

続いて、ピッキングされた商品をスカイパスコンベアで仕分け、顧客ごとの注文箱に振り分ける。仕分け済みの注文箱は、品物に応じて自動で振り分けられ、コンベアネットワークを通じて全体の物流フローに統合される。

最後は、スピーディーな配送体制だ。ユーザーがドライブスルーの受け取り場所に到着し、外部端末でチェックインを行うと、保管ゾーンから注文箱の引き出しが同時に開始される。直結されたコンベアが、12ある自動受け渡しステーションの上部にあるバッファループに注文箱を集約。顧客がステーションに車を寄せると、注文箱が自動で連続して降下し、ユーザーの目の前に現れる。

▲徹底した内製化で、一日の取扱いが飛躍的拡大

ユーザーは届いた荷物を自分の手でトランクへ積み込むだけでよく、無駄な動きは一切ない。このステーションはプロジェクト特有のニーズに応えるべく特別に設計された革新的なデザインを採用しており、従来の物流システムとは一線を画す柔軟性を実現した。

制御ソフト「Deepsky」(ディープスカイ)の内製化により、現場のテスト結果を即座に反映し、迅速なアップデートを行う。外部ベンダーの制約を受けないこの体制が、1日最大2000オーダーの処理も視野に入れた驚異的な配送運用の基盤となっている。

スカイポッドロボットは、秒速4メートルで走行し、ラックを垂直昇降する独自の技術アーキテクチャを持つ。部材にはプラスチック注入成形による量産パーツを採用し、軽量化とコスト低減を両立した。加えて、保管効率を最大化する専用ビンまでを自社設計することで、収容密度を従来比で2倍から3倍に高めている。

注文から出庫までのスピードが改善した結果、1日の処理件数は800件から1200件へと50%向上した。待ち時間の短縮は顧客満足度を飛躍的に高め、従業員の身体的負担も大幅に軽減した。

物流2024年問題に揺れる日本においても、ルクレール・スクランが示した「物流の高度化が売上増に直結する」というモデルは極めて重要だ。ハードとソフトを融合させた総合技術力により、顧客のビジネスモデルそのものを再定義する。それこそが、EXOTECが目指す真のインテグレーションだ。

動画リンクはこちら

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>>特集EXOTEC第3回
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